偽装結婚の行く末
「確かに今日暑いな」


そう言って腕をまくる昴の二の腕に視線が向く。
え、昴の腕真っ赤じゃん。
赤く変色してあたしの指の跡がついてる。
痛かったはずなのによく怒らなかったね。

急に申し訳なくなってその部分をそっと触った。


「叩いてごめんね……」

「急にしおらしくなるのやめろよ」

「なんで?」

「油断したら勃つ」


が、申し訳ない気持ちがその発言でふっ飛んだ。


「さいってー!」

「条件反射だから俺は悪くない」


さすがにもう叩いたりしないけど、デリカシーのない発言に距離を取る。
しかし昴はあたしの手を握って隣に立たせた。


「早いとこ慣れとけ、俺は一生こういうこと言い続けるぞ」

「慣れるも何も、好きだから大目に見るよ」

「……今の嫁っぽくていいな」


ぽろっと零した本音を拾い上げて満足気に笑う昴。
幸せそうに笑うものだから、変な意地を張るのはやめようと思ってあたしも笑ってみせた。
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