偽装結婚の行く末
「あ、奥村先輩おはようございます」
ロビーに向かうと満面の笑みの菜々美に出会った。
奥村って、あんたね……。
「菜々美、あんた普段名字で呼ばないでしょ」
「だって呼んでみたくて〜」
えへへと笑う菜々美は不意に距離を縮めてきた。
そしてあたしの手をぎゅっと握ると、上目遣いで目を輝かせる。
「おめでとうございます、美優先輩。結婚式には絶対呼んでくださいね!」
「うん、11月に決まったから今度招待状渡すね」
「やった!楽しみにしてます〜」
そう言いながらぴょんぴょん跳ねて握った手をブンブン振り回す菜々美。
ヒールでよくそんな動きできるな。
全身で喜んでくれるのは嬉しいけど、そろそろ始業時間だから落ち着いて!
「どうも、おはようございます」
ほら、噂をすれば社長が来たじゃん!
おはようございますの前に「どうも」をつけるのは社長しかいない。
社長はいつも正面玄関に面する道路にタクシーを止めて、そこに立っている警備員に挨拶する。
つまり社長は目前にいるってこと。
すると菜々美は大慌てでロビーに置いてあるカウンターに走って定位置に座った。
あたしは玄関のディスプレイ整えてるように見せかけて社長を出迎えた。
ロビーに向かうと満面の笑みの菜々美に出会った。
奥村って、あんたね……。
「菜々美、あんた普段名字で呼ばないでしょ」
「だって呼んでみたくて〜」
えへへと笑う菜々美は不意に距離を縮めてきた。
そしてあたしの手をぎゅっと握ると、上目遣いで目を輝かせる。
「おめでとうございます、美優先輩。結婚式には絶対呼んでくださいね!」
「うん、11月に決まったから今度招待状渡すね」
「やった!楽しみにしてます〜」
そう言いながらぴょんぴょん跳ねて握った手をブンブン振り回す菜々美。
ヒールでよくそんな動きできるな。
全身で喜んでくれるのは嬉しいけど、そろそろ始業時間だから落ち着いて!
「どうも、おはようございます」
ほら、噂をすれば社長が来たじゃん!
おはようございますの前に「どうも」をつけるのは社長しかいない。
社長はいつも正面玄関に面する道路にタクシーを止めて、そこに立っている警備員に挨拶する。
つまり社長は目前にいるってこと。
すると菜々美は大慌てでロビーに置いてあるカウンターに走って定位置に座った。
あたしは玄関のディスプレイ整えてるように見せかけて社長を出迎えた。