偽装結婚の行く末



昼休み、今日はキッチンカーがオフィスの周辺に来る日だ。
久々に何か買おうかな、と財布を持って外に出たら後ろから誰かに声をかけられた気がして振り返った。


「げっ、佐久間じゃん。なんの用?」


なんと話しかけてきたのはクズ男の佐久間。
新婚ホヤホヤのあたしになんの用?


「白井、結婚おめでと。これ大阪土産」


佐久間はそう言うとお菓子を差し出す。
ああ、そういえば1週間大阪に出張に行ってたんだっけ。

……まさかこいつがお祝いしてくれるとは。
なんのつもりか分からない。
ただの気まぐれならいいけどさ。


「どうもありがとうございます。もう白井じゃありませんけどね」

「はは、ウケる」


一応牽制のために薬指にはめた指輪を見せつけたら佐久間は笑った。
何がウケんの、さっぱり分からん。
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