偽装結婚の行く末
「律ってさ、ほんといい子よね」

「そう?いろいろ気にしないだけだと思う」


褒められた律は不思議そうな顔をして首を傾げる。
無意識ってこと?それはそれですごい。


「で、姉ちゃん今日はどうしたの?」

「あ、そうだ。今日これを渡しに来たの」


律に感心しちゃって今日来た目的を忘れてた。


「あ!招待状?俺こういうの初めてもらった!」


招待状を渡すと、目をまん丸にして驚く律がかわいい。
さすが、予想通りのいいリアクション。


「招待状ってもらったら結婚するんだって実感するね。
改めておめでとう姉ちゃん」

「ありがと律。それでさ……結婚式の時スピーチお願いしてもいい?」

「俺でいいの!?」

「事前に聞いたんだけどさ、母さん泣きそうだから無理って」

「えー、俺も泣くと思うけどなぁ」


今日あたしは、結婚式での家族代表のスピーチを律にお願いしたくてここに来た。
律は泣くかもと言いつつなんだかんだ乗り気。
< 139 / 182 >

この作品をシェア

pagetop