偽装結婚の行く末
「何?」

『仕事終わった?今お前の会社の前にいるから降りてきてくんね?』

「は?なんで!?」

『正面の道路に停まってる黒い車な』


救世主だと思ったのにトラブルメーカーじゃん。
なんでよりによって目立つ正面玄関の前に車停めんの?
そもそもなんで来た!?

するとちょうどエレベーターが1階に着いたので、小走りで昴の車まで走って助手席のドアを開けた。


「なんで来たの!?」

「……」

「ねえったら」

「……お前が騙されたクズ男ってアレ?」


振り返ると、ちょうど玄関から出てきた佐久間の姿が見えた。
なんとなくこの状況を見られたくなくて、急いで座ってドアを閉めた。


「なんで分かった?」

「顔がいいから」

「……よくあたしの趣味をご存知で」

「まぁな」


昴はあたしの疑問にいっこも答えずになぜかドヤ顔。
相変わらず掴めない男だな。
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