偽装結婚の行く末
「……は?待って、彼女できたの?」

「いるよ、1年前から」

「待ってなぜそれを姉ちゃんに言わないの!?」

「姉ちゃんその時荒れてたから、あはは」


驚きのカミングアウトを受けてあたしは律の肩を揺さぶる。
そっか、変な男に引っかかってばかりで荒れてたあたしの心境を考慮してくれたわけね。
どこまでも優しいやつ、と理由なくハグをした。


「律、とんでもない美女ゲットしてんじゃん」

「かわいいよねすみれ」

「すみれ……名前まで綺麗……」


落ち着いたあたしは律に彼女の写真を見せてもらった。
は?他撮りなのに超かわいいんですけど。
高校生でこのレベルってやばすぎ。

……あたしの弟、もしかしてすごいモテるのでは?


「姉ちゃんもとんでもないイケメン捕まえたじゃん、誠実だし社長だし」

「誠実……?」


とりあえず姉弟揃って面食いなのは分かった。
すると律が耳を疑うことを言うからその部分を反復した。

昴は誠実か?口を開けばあたしをからかってばかりな気がするけど。


「姉ちゃんの思ってるより、昴兄は姉ちゃんのこと好きだと思うよ」

「そうかなぁ」

「幸せにね、姉ちゃん」


優しい微笑みを携えて、心の底から祝福してくれる律。
結婚を喜んでくれる家族がいること、そして律に成長を感じたことのダブルパンチであたしは泣いた。
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