偽装結婚の行く末
「誰だと思います?」

「……ごめん、全く分からん」

「なんと、総務の遠藤さんだそうです」

「は!?遠藤さん!!?」

「そうらしいです!」


予想を遥かに超えてたから、あたしは思いっきり大声を出した。
ウソ、嘘でしょ!?遠藤さんって、仕事はできるけど愛想はないとか言われてるあの遠藤さん!?

いや、実は優しいしあたしは好きだけどさ遠藤さん。
でも佐久間がああいう系選ぶとは思ってなかった。


「ふたりとも、ちょっと声が大きいかな〜」


すると、たまたま通りかかった心先輩が苦笑いしながら入ってきた。
あたしはいてもたってもいられず立ち上がった。


「心先輩、聞きました!?」

「何が?」

「あのクズ男の佐久間が遠藤さんと付き合ってるの!」

「あー、仁奈本人から聞いたよ」


ええっ、マジなの?
あたしはびっくりしすぎて腰が抜けたように着席した。


「なんで遠藤さん?って思ってる?」


心先輩は首を傾げて聞いてきた。
そりゃあ、若干は思うよ。
ずば抜けて美人ってわけじゃないから、佐久間が惚れる理由がちょっと分からない。


「いや、うん……まあ」

「じゃあ、今度仁奈と一緒に女子会しよ。
はい、この話はこれでおしまい。仕事に集中してね」


言葉を濁したら心先輩がニヤッと笑って提案してきた。
え、それはどういう笑み?
気になりすぎてその日はあんまり仕事に集中できなかった。
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