偽装結婚の行く末
「てか美優、すっかり元気じゃん。男に振られた傷は癒えた?」


昴は佐久間に注目するのをやめて車を発進させた。
どこに行くつもり?別に今日は用事ないからいいけどさ。


「何言ってんの?元から傷ついてないし。
あんなの全然平気です〜」

「へぇ、ご機嫌だな。なんかいいことあった?」

「人は見かけによらないなと思って」


ふふっと笑うと昴はすごく嫌そうな顔をした。


「お前、もう男見つけたのかよ。まーた騙されてんじゃねえの」

「男じゃないし、仕事の話」

「へぇ、どうでもいいけど変な男には騙されんなよ」

「半年間は昴の婚約者として徹底するから大丈夫」

「別に男いても構わねえけど」

「2つの顔を使い分けるとかそんな器用ことできないって」

「ふぅん」


興味なさげに反応する昴は今日も何を考えてるのか全く分からない。
じっと見てたら赤信号になって車が止まり、その顔が突然こっちに向いた。
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