偽装結婚の行く末
ついに結婚式前夜を迎えた。
次の日が早いし寝坊は厳禁だから、早めに就寝しようとベットに横になる。


「寝る前に練習しなくていい?」


ところが昴は明日のスピーチのカンペを持って顔を覗き込んでくる。
風呂上がりで濡れた前髪が目にかかって、なんだか色気が増してる。
あたし、こんないい男と結婚したのか。

昴はふとした表情が綺麗で見とれてしまう。
昔は意地になって嫌いとか言ってたけど、ほんとは好きだったもんね。


「聞いてるか?目開けて寝てんの?」

「あ……もう暗記するくらい練習したから大丈夫。
えーっと、本日はご多用の中、私たちのためにお集まりいただきありがとうございます。
澄み渡る青空の日に皆さまにお集まりいただき、幸せな気持ちでいっぱいです」

「雨降ったらどうすんの?」


カンペを見ずにつらつら声に出していたら、昴に突っ込まれた。
確かに、明日はにわか雨があるとか言ってたような。
< 152 / 182 >

この作品をシェア

pagetop