偽装結婚の行く末
ひょんなことから始まった同棲生活は思いのほか楽しい。
2ヶ月が過ぎた頃はそう思えるようになった。

昴はなんだかんだ太っ腹だからいろいろ連れ出してくれる。
おかげで舌が肥えて大変だ。

だけど最近困ったことがある。

それは昴がことある事に「付き合おうぜ」とノリで言ってくること。
リアクションを見て楽しんでるんだろうけど、マジで何考えてんの?
あたしがうんって言ったらどうするんだろ。


「うー……」


などと、いろいろ考えながら痛みを紛らわす。

朝から頭痛い、腰も痛い。
なんとか寝床から出て、ソファにうずくまり地獄の生理2日目の痛みをこらえる。


「美優〜、今夜接待でキャバ行ってくる」

「……あっそ」

「え、キャバ行ったらダメ?」


先に起きていた昴は朝の支度をしながら話しかけてきた。
だけど返事が素っ気ないから、あたしが座ってるソファの前までわざわざ来た。


「違うって、生理がしんどい」

「お前生理痛ひどいの。薬飲んだ?」

「飲んだ」

「会社まで送ろうか」

「大丈夫、有休消化で今日休み」

「不幸中の幸いだな。ゆっくりしとけよ」


そう言って頭を撫でる昴。
いつもは鬱陶しく思えるその手が今は恋しい。
もっと撫でてほしいのに。けどそんなこと言えないからきゅっと口を結んだ。
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