偽装結婚の行く末
「じゃあ、責任取るから俺と結婚してくれない?」


結婚?何言ってんだこいつ。
呆れたけど昴がゆっくり頬杖をついてじっと見つめてきたから驚いた。

……本気なの?
だとしたらプロポーズが焼肉屋とかありえないんだけど。


「じょ、冗談でしょ」

「あ、結婚って言っても偽装結婚な。
ちょっとばかし面倒なことに巻き込まれてるから人助けと思って」

「……」


ふーん、こいつがあたしを呼んだ魂胆はそれか。
やっぱあたしの周りの男ってろくでもないわ。


「男にフラれたんならちょうどいいだろ」

「バッカじゃない?もう帰る」


なーにがちょうどいい、だ。
そんなことしたってあたしにメリットないじゃん。
店に着いたばかりで何も頼んでないけどバックを持って帰り支度を始める。

昴は特に慌てる様子もなく頬杖をついたまま私と目を合わせた。
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