偽装結婚の行く末
京都旅行の翌週。
あたしと昴は京都のお土産を持って実家に帰った。


「お邪魔します」

「おかえり美優、あら昴くんも?どうしたの2人そろって」


母さんはカンが働かないみたいでいつも通りあたしたちを迎え入れる。
午前中で部活が終わって家にいた律は、何かを察したみたいでニヤニヤしてたけど。


「先週京都に行ったお土産です」

「あら、わざわざいいのに。京都にはお仕事で?」

「いえ、美優と2人で旅行に行きました」

「2人で?え、いつの間にそんな仲良くなったの?……もしかして付き合ってるとか?」

「はい、その通りです」


からかうつもりでお土産を受け取りながら笑う母さん。
しかし、昴に笑顔でそう言われて母さんの手からお土産が滑り落ちた。

持ち前の反射神経を発揮した律が瞬時に拾ったからセーフだったけど。
母さんはお土産を落としたことすら気にせず昴を見つめて口を開けている。


「俺は美優と結婚したいと思っています。今日はそのご挨拶で来ました」

「……は?」

「やっぱり!?」


昴がさらなる爆弾を投下すると、母さんは脳内処理が追いつかない様子。
対して律はかわいい笑顔でにっこにこ。
あたしも緊張してたけど、その笑顔を見たら癒された。

母さんは「ちょっと冷静になりたいからお茶いれてくる」とその場を離れる。
……ちょっと急すぎたかな。
でも、事前に伝えておいて歓迎ムード全開でもいやだし。
まあいっか、そんな気軽な気持ちでリビングに入った。
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