偽装結婚の行く末
「ラッキーなことに顔覚えてもらったからアプローチしなくていい。
しかも名刺とパンフレットまでもらってんのかよ、最高だな美優」


昴は嬉しそうに頭をわしわし撫でてくる。
ちょっと、あたしは犬じゃないんだからそんな雑な撫で方しないでよ!
それだけ嬉しいってことなんだろうけどさ。


「……どういうこと?」

「ほら、そのパンフレットの中身見てみろ。三村グループが所有してるクルーズ船の食事券だよ。
再来週、クルーズ船で夫人が主催のパーティーがあるから、そのためにどうにか顔を覚えてもらいたかったんだ」

「め、珍しく興奮気味じゃん」

「そりゃ興奮するって、大幅に手間が省けた!
ありがとう美優、今日連れてきてよかった」


ははは、と大口を開けて笑う昴は超ご機嫌。
……よく分かんないけど役に立てたっぽい?
チョロいあたしは褒めらたのが嬉しくて一緒になって笑った。
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