放課後、私はいつもの場所で
驚いた
こんなに綺麗な夕焼け空が広がってるなんて
「………きれい………あ」
柚月は、屋上の柵にもたれかかった男の子を見つけた
いつ落ちてもおかしくない、危ない場所に座っていた
「危ない!!」
「!?」
男の子が、柚月の方を振り向く
「!」
柚月は、そこで気がついた
「……泣いてるの?」
「なっ、泣いてないよ」
男の子は急いで目元を拭う
だけどその腕は、包帯でぐるぐる巻きにされていた
「ひどい怪我…!だめだよ、ちゃんと包帯で巻かなきゃ。傷が悪化しちゃうよ」
「…いいよ。別に」
「良くない!」
柚月の声に、男の子はビクッとする
「何もよくない。私がよくないって思うんだから。痛いときは、痛いって言えばいい。苦しいときは苦しいって言えばいい。ね、だから死なないで!」
あまりにも真剣な柚月に、男の子はキョトンとした
そしてすぐに、ぶはっ、と笑い出した
「あっははは!!」
「⁉︎」
「何言ってんの、俺死なないよ」
「えっ、だって飛び降りようとか…」
「キミ、青春ドラマ見過ぎだよ。あははは!」
な、なんて恥ずかしい勘違いを…!
そう思った柚月は、顔を真っ赤にした
「ご、ごめんなさい!!」
「なんで謝るのさ。いいよ、面白かったし」
男の子は柵を越えると、柚月の方へ歩く
「それで、なんでキミはここに来てんの?」
「い、委員会の仕事で……副委員長の子、来ないから私1人でやってるの」
「へぇ。どんな仕事してんの?」
「まあ、簡単に言うと雑用ね……」
「うわあ」
「うわあって何よ!」
さっきまで泣いてたのが嘘みたい、この子……
「なんで副委員長来ないの?」
「そんなの、私が知りたいくらいだよ。そもそも学校きてないみたいだし…」
「ふうん」
「今度は私の番ね。どうして、あなたはここにいるの?」
「俺は、まあ、なんとなく。だけど、ここに来て正解だったよ」
「え?」
男の子は笑って、
「だって、キミに会えたんだもん」
と言った
「!!///」
「顔真っ赤だよ?」
「えっ?あ、違うよ!?」
柚月は首を横にブンブン振った
でも、と柚月は言った
「私も同じ。あなたに会えてよかったよ」
厄日じゃなかった、と
「私、柏木柚月。高等科1年A組」
「…俺は國谷朔弥」
「うん。よろしくね、國谷―え?なに?國谷?」
柚月はその名前を聞き返す
「そうだけど?」
朔弥はニヤリと笑っ
た
「……あ、あなたが……」
ぶるぶると震える指で朔弥を指す
「そ。いつもご苦労様、柏木委員長」
「…ふ………副委員長ー!!!!」
私と國谷くんは、こうして出会いました―