私が恋したのは心哀なる神様でした。
1章 ワタシノデアイ
1話 ハジマリ。


ああ__私はいつもこうだ。
いつもヘマしてばっかで、何してもダメで、怒られてばかりで。そんな毎日にうんざりしていた。こんな日々なら、いっそ捨ててしまおうか、と何回も思った___


私は霞崎 瑠衣(かすみざき るい)。高校二年生の落ちこぼれである。
テストは毎回赤点。この前だってそうだ。
「エェ?また赤点ですか?!」
「あぁ。霞崎…大学行きたいなら本気で勉強しなきゃいかんだろ。」
「だって、真面目に授業受けたってなんにもわかんないんですもん。」
「分からなかったら教師に聞けばいいだろう!?」
「う…何も言い返せないですね…」
……と、まぁこんな感じである。
来年は大学受験、教師もかなり真面目に考え出す時期だ。自分たちの高校から有名進学校に進学校する者もいる。そのためであろう。
だからってなぜ普通の大学に行きたい私たちまで厳しくされなければならないのか。そんな考えがずっと頭の中を回っていた。
__帰宅後__
「ただいまぁ…」
「おかえりなさい。瑠衣、ちょっとこっち来なさいな。」
「ん?はーい」
そういったのは母である。適当に返事を流し自分の部屋に荷物を置いてからリビングに向かった。
そこには父もいて、何やら不穏な空気である。
「瑠衣、お前は大学に行きたいのか?」
「んー…まぁ。将来就職がちょっとは楽になるし。」
父の質問に対し少し嘘を混じえながら答えた。すると…
「本当に行きたいの?どうせあんたの事だからめんどくさいとか思ってるんじゃないの?」
……図星だ。母は昔から観察眼が凄かった。私が考えていることをだいたい見抜いてしまうのである。
「何も答えないところ、本当みたいね。私たちはね、あんたに無理して大学行けって言ってるわけじゃない。まだ1年あるから、じっくり考えて。そう言いたいだけよ。」
(…お説教なのかな、これ。)
話が終わり、私は自分の部屋へと向かった。
「はぁ…寝よっかな。疲れたし。」
独り言を呟き私はベッドへと向かった。
そしてなぜか一瞬で眠りに落ちた。

私は夢を見た。それもまた随分とリアルな夢だ。
空は私の心情を表しているような黒と青が混ざったような色をしている。しかし、私はいつもの見なれた自分の家に立っていた。
「これは、夢…?」
「そうだよ、そこの少女。」
「え?だ、誰?」
自分の目の前に突如煙が立ち上がり人が出てきた。これには驚いたが、声に出すのは我慢した。
「こんにちは、少女。君がルイちゃんだね?」
「え?なんで私の名前を…」
「僕さ、神様だから〜。何でも知ってるんだよ。」
「か、神様?!じゃあ神様って言うなら私の今の気持ち、当てれますか?」
強気で言ってみるが自分の名前を知っている相手に対してよく言ったなと思う。
「君の気持ちは、この世界が表してる。そうだろう?哀しみ、嘆き、苦しみ、全てがこの世界に詰まってる。ほら、アレ見てご覧?」
神様と名乗る人の指さす方を見てみると母が立っていた。
みるみるうちに母は砂になっていった。
「ひぃっ!?」
「今君は、お母さんに対して負の感情を持っている。だから砂になっちゃったってワケ。」
そこまで言い終わると神様は空を見上げた。
「あー、お話できるのはここまでかなぁ?また夢においで。僕のことを願いながら、ね。またね、ルイちゃん。」
そう言うと私は目が覚めた。


___本当に夢だったのかな。___

続く。
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