僕らは運命の意味を探していた。
そこで俺は一つの疑問を抱いていた。俺はそれを問うてみる。
「そんな奴と、なんで二人は一緒にいるんだよ。」
「あと一人に何があったかは、俺にも分からないけど。あの二人に関しては、色々、あったんだ。流石にあれを聞かされたら、見過ごす訳にはいかなくてな。」
奏ちゃんと一好は、悲しげな顔をしていた。明るい奏ちゃんさえも、その明るさは影を潜めていた。
「・・・・・・元々二人の親族が、ある村の役人を務めていたんだ。」
「そして、ある時その村が無くなったんよ。」
ダム建設のためにね。
一好は少し溜めを作ってから、『ダム建設』というワードを出した。
最近あまり聞かなくなったけど、まだ行われていた村があった。その事実に俺は驚いた。
「勿論、村の住民は皆反対していたさ。自分たちの故郷を失いたくは無いからな。」
「でも、その親族二人がダム建設の反対を押し切って断行したんよ。そして村は水没……。」
俺は、同情の気持ちを持った。残酷な話で、言葉を失ってしまった。
「でもさ、その二人は何のために、そこまでしたんだよ。」
「簡単だ。ダムの建設会社の社長から、多額の賄賂を受け取っていたんだ。」
公共事業の枠組みの中にあるダム建設。それを建設会社が請け負うケースもかなりあるらしい。
何かのテレビ番組でやっていた情報だから、偏った情報かもしれないけど、俺には聞いた覚えがあった。
公共事業もれっきとした仕事。利益があるのは間違いない。信用を勝ち取れれば、他からの受注も増える。
だから多額の賄賂を渡しても、何ら痛手にはならない訳だ。
「それがこの件と何の関係が?」
「まあまあ、最後まで話を聞いてくださいな。」
「あっ、うん。ごめん……。」
一好に諭されてしまった。少し悔しかったが、一好がすべて正しいから反論はしなかった。
「そこの建設会社に、俊也のお母さんが事務員として、紗南のお父さんが作業員として働いていたんよ。」
「そして、一岡のお父さんも作業員として働いていたんだ。それで社長は一岡のお父さんを嫌っていた。」
「何でなの? 別に嫌う理由なんてないじゃない。」
「気に食わなかったんだよ。一岡のお父さんの人望の厚さに。自分じゃなくて、自分より身分が下の人間が、周りからチヤホヤされてたから。」
なんてくだらない理由。
よくそれで会社の社長が務まるな……。
俺はそう思って、呆れた心持ちのまま二人の話を聞いていた。
「それで、俊也のお母さんと、紗南のお父さんに命じたんだ。一岡に痛い目を見せろ、とね。」
「彼らは、拒否できなかったのね……。」
来海は呟くようにそう言った。
「ああ。賄賂の件があって、公に出たら親族は逮捕され、自分達にまで飛び火が来るからな。」
そうなれば、ネット上で顔写真がばらまかれ、再就職は困難となるだろう。
更に、社長が賄賂を贈った事で逮捕されれば、会社も倒産を免れることは出来ない。
そうなれば、自分たちの人生は終わりも同然だ。
「そこでそれが繋がる訳だ。まったく、なんてこすい手を……。」
「ほんとだよね……。マジ信じらんない……。」
「ああ。流石にこれを聞いた時、俺も我慢ならなかったよ。でもあいつらはこれを話したがらないんだ。」
「何でさ?」
「どんな理由であれ、自分たちが一岡を苦しめたという事実は変わらないから。」
「そんな奴と、なんで二人は一緒にいるんだよ。」
「あと一人に何があったかは、俺にも分からないけど。あの二人に関しては、色々、あったんだ。流石にあれを聞かされたら、見過ごす訳にはいかなくてな。」
奏ちゃんと一好は、悲しげな顔をしていた。明るい奏ちゃんさえも、その明るさは影を潜めていた。
「・・・・・・元々二人の親族が、ある村の役人を務めていたんだ。」
「そして、ある時その村が無くなったんよ。」
ダム建設のためにね。
一好は少し溜めを作ってから、『ダム建設』というワードを出した。
最近あまり聞かなくなったけど、まだ行われていた村があった。その事実に俺は驚いた。
「勿論、村の住民は皆反対していたさ。自分たちの故郷を失いたくは無いからな。」
「でも、その親族二人がダム建設の反対を押し切って断行したんよ。そして村は水没……。」
俺は、同情の気持ちを持った。残酷な話で、言葉を失ってしまった。
「でもさ、その二人は何のために、そこまでしたんだよ。」
「簡単だ。ダムの建設会社の社長から、多額の賄賂を受け取っていたんだ。」
公共事業の枠組みの中にあるダム建設。それを建設会社が請け負うケースもかなりあるらしい。
何かのテレビ番組でやっていた情報だから、偏った情報かもしれないけど、俺には聞いた覚えがあった。
公共事業もれっきとした仕事。利益があるのは間違いない。信用を勝ち取れれば、他からの受注も増える。
だから多額の賄賂を渡しても、何ら痛手にはならない訳だ。
「それがこの件と何の関係が?」
「まあまあ、最後まで話を聞いてくださいな。」
「あっ、うん。ごめん……。」
一好に諭されてしまった。少し悔しかったが、一好がすべて正しいから反論はしなかった。
「そこの建設会社に、俊也のお母さんが事務員として、紗南のお父さんが作業員として働いていたんよ。」
「そして、一岡のお父さんも作業員として働いていたんだ。それで社長は一岡のお父さんを嫌っていた。」
「何でなの? 別に嫌う理由なんてないじゃない。」
「気に食わなかったんだよ。一岡のお父さんの人望の厚さに。自分じゃなくて、自分より身分が下の人間が、周りからチヤホヤされてたから。」
なんてくだらない理由。
よくそれで会社の社長が務まるな……。
俺はそう思って、呆れた心持ちのまま二人の話を聞いていた。
「それで、俊也のお母さんと、紗南のお父さんに命じたんだ。一岡に痛い目を見せろ、とね。」
「彼らは、拒否できなかったのね……。」
来海は呟くようにそう言った。
「ああ。賄賂の件があって、公に出たら親族は逮捕され、自分達にまで飛び火が来るからな。」
そうなれば、ネット上で顔写真がばらまかれ、再就職は困難となるだろう。
更に、社長が賄賂を贈った事で逮捕されれば、会社も倒産を免れることは出来ない。
そうなれば、自分たちの人生は終わりも同然だ。
「そこでそれが繋がる訳だ。まったく、なんてこすい手を……。」
「ほんとだよね……。マジ信じらんない……。」
「ああ。流石にこれを聞いた時、俺も我慢ならなかったよ。でもあいつらはこれを話したがらないんだ。」
「何でさ?」
「どんな理由であれ、自分たちが一岡を苦しめたという事実は変わらないから。」