僕らは運命の意味を探していた。
 煮詰まった雰囲気の中、女子チームは気分転換として、コンビニにお菓子類を買いに行った。

 どうやら徹夜で考える魂胆らしい。

 来海の親御さんがいない事をいいことに、好き放題やるようだ。

 残った二人の間にも沈黙が走る。耐えきれなくなった一好はスマホを取り出し、いじっていた。

 俺も触ればいいのだが、どうしてか触る気になれなかった。

 どうやら、自分の中で何かが引っ掛かっているようだった。

 そして無造作に思考を巡らせる。

 真道とアツ。一岡と紗南さんと俊也君、そして友花さん。金持ち息子もいる。

 ん? もしかして・・・・・・。

「どうしたんだよ、いきなり日記なんか持って。」

 俺は体中に雷が駆け抜けた感覚だった。

「……そうか、なるほどな。」

「何が、なるほどなんだよ。おい、本当にどうした?」

「……まあまあ。とりあえず、俺の話を聞いてくれよ。」

 俺は自分の考えを一好に余すことなく伝えた。

 その過程で、徐々に一好が納得の表情に一変する様を、楽しみながら。

「凄いな……。でも、確かに筋は通ってるけど、どう証明する?」

 そうなんだよな。

 この仮定を確定に変えるのは、相当なハードルなんだよな。

「というか、それって可能性としてあるのかどうか、それすら怪しいよな。」

「まあな。でも他に選択肢がねえ気すんだよ。何か他に思いつくか?」

 俺は一好に聞いた。

 もしも俺が思いつかなかった可能性を、もしかしたら気づかせてくれるかもしれない。

 俺が彼の回答を期待する中、真向かいの目つきの悪い同級生は頭を悩ませ、一間置くとこう言った。

「……何も思いつかん。」

 一好は少し悔しそうに言った。

 張り合う感情も無いはずなのに、悔しさが滲み出ているように見えるのはどうしてだろう。僕は少し疑問に思った。

「とりあえず情報交換で、二人にも話すな。多分ボロカス言われるから、その時は慰めてくれよ……。」

「ああ、任せとけ‼」

 一好は自信満々そうに言った。

 いくら考えても、現実味を帯びていない仮説に、俺は不安感しか抱けなかった。

 しかし、逆に考えれば、不可解な事件だからこそ、何があるか分からない。

 そうなれば、俺の仮説にも真実味が帯びてくるかもしれない。希望は捨てないほうが良さそうだった。

 
< 104 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop