僕らは運命の意味を探していた。
 俺たち四人はそれだけを願っていた。

 何を話しかけても無表情で返答も無い状態から、笑顔で明るく返してくれる、そんな当たり前だった過去の状態に戻りたいと、俺は思っていた。

 今、真道たちの時間は、昏睡という状態で止まっていた。

 もしかしたら再び動き出すことも無く、その生涯を終えてしまうかもしれない。

 あの四人に、俺らからの手助けは、全てが無意味だ。今行動しているのも、結局は自己満足の一環に過ぎない。

 それでも、動いていないと、あいつらを見捨てたように感じてしまう。そんな自分が許せなくなるし、情けなくなってしまうだろう。

 心のどこかで、俺は無力感に耐えられなくなっているのかもしれない。

 俺がいくら助けたいと願っても、蚊帳の外から叫んでいるだけで終わってしまう。それがどうしても嫌だった。

 この一件の犯人の目星もついた。動機も分かっている。ほとんど答えが出たような状況なのだ。

 しかし、非現実的すぎてどうしても確信が持てなかった。

 一岡君の親族の可能性も視野に入れた。

 しかし、昏睡状態の四人と関係があって、なおかつ動機十分な人間と言ったら、一岡龍次を除いて外にいない。

 どのルートを辿っても、一岡龍次という人物が浮かび上がってくるのである。

 四人の話し合いの中で、解決されなかった疑問もあった。

 あきがメンバーに入っているという事。あきは主犯者のみならず、他の人間にも全く被害を出していない。

 アツとの接点があっても、真道のように、主犯者の動機につながるような行動が見られなかった。

 もしかしたら、その答えが見つかった時に、何か真実に近づくような手掛かりが見つかるかもしれない。

 俺はその時が来るのを、心待ちにしていた。

 
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