僕らは運命の意味を探していた。
そして数十分の後、再びワゴン車のドアが開いた。
どうも、一好が戻って来たらしい。汗だくで、どこか晴れやかな顔をしていたように、俺は思う。
「言いたい事、言えた?」
「ああ。――包み隠さず全部。吐き出すように言ってきたよ。」
奏ちゃんはそう聞いて、適当な相槌を打った。
俺には奏ちゃんが、話をバッサリと切ったように聞こえた。
決して内容を問うことは無く、晴れやかになった一好の顔を見て、墓での様子を何となく察したのだろう。
俺らには分からない、二人だけの感覚がそこに存在するのかもしれない。俺はその光景を見て、気持ちが少し和んだ。
車が発進し、アツの眠る場所へ向かった。
俺には恐怖心があった。
決別してからもうすぐ一年、久しぶりに会う親友の姿は想像上だけのもので、幾ら話しかけても、返答が返ってくることは無い。
それでも俺は、開口一番にこう言われる気がした。
「来るの遅すぎない?」と。
いつもの調子のアツだったら、間違いなく言っていたと、俺は思う。
冗談交じりに、周りの人が笑えるような空気を生み出すように仕向けていただろう。
しかし、今回の場合はどうだろう。一年間来ることが出来ずに、半ば放置のような状態だった。
俺の目論見としては、あきと真道も一緒に来て、墓参りをしたかった。四人で近況報告が出来たら、俺はそれだけで満足だった。
しかし、真道の状態を見て、その願いが叶う事は当分なさそうだと、半ば諦めの気持ちだった。
こういう時アツだったら、真道になんて声を掛けたのだろう。アツの事だから、上手く真道を前へ向けるよう励ますと、俺は思う。
あの頃みたく、どこからともなく飛び出してきて、俺らを驚かせてくれないかな。
どうでもいい話をして、笑い合えないかな。
あの笑顔で溢れた空間が、戻ってくることはもう無いのかな。
僕はあの頃を思い出して、感傷に浸っていた。
一場面を思い出す度に、込み上げてくる感情が制御できなくなっている。
特別な動画たちが、とめどなく俺の脳内で再生されていた。
俺は、目元に溜まった感情を溢さないように起き上がった。
そして二列目にいる二人に気付かれないよう、静かにその涙を拭った。
しかしその涙が止まらない。俺は右腕で目元を隠して、涙が止まるのを待った。
この時に俺は初めて知った。これほどまでに深い傷を負っていたのだと。
あの頃をずっと引きずっていたのだと。俺はそんな自分が、少し情けなく思った。
俺は、隣で寝ている来海を横目に、周りの景色を無言で眺めていた。
所々に広がる田園風景の中に、仲睦まじく会話する、日焼けしたおじいちゃんとおばあちゃん姿があり、濃い緑の街路樹が通りの両端に均等に並んでいた。
天気は曇りの中に、青空が垣間見える程度に晴れていた。
少し歩行者の服装も、丈の長いのが目立っていた。
ある交差点を右に曲がり直進する。
そして少し行った所で白のワゴン車は停止した。
どうも、一好が戻って来たらしい。汗だくで、どこか晴れやかな顔をしていたように、俺は思う。
「言いたい事、言えた?」
「ああ。――包み隠さず全部。吐き出すように言ってきたよ。」
奏ちゃんはそう聞いて、適当な相槌を打った。
俺には奏ちゃんが、話をバッサリと切ったように聞こえた。
決して内容を問うことは無く、晴れやかになった一好の顔を見て、墓での様子を何となく察したのだろう。
俺らには分からない、二人だけの感覚がそこに存在するのかもしれない。俺はその光景を見て、気持ちが少し和んだ。
車が発進し、アツの眠る場所へ向かった。
俺には恐怖心があった。
決別してからもうすぐ一年、久しぶりに会う親友の姿は想像上だけのもので、幾ら話しかけても、返答が返ってくることは無い。
それでも俺は、開口一番にこう言われる気がした。
「来るの遅すぎない?」と。
いつもの調子のアツだったら、間違いなく言っていたと、俺は思う。
冗談交じりに、周りの人が笑えるような空気を生み出すように仕向けていただろう。
しかし、今回の場合はどうだろう。一年間来ることが出来ずに、半ば放置のような状態だった。
俺の目論見としては、あきと真道も一緒に来て、墓参りをしたかった。四人で近況報告が出来たら、俺はそれだけで満足だった。
しかし、真道の状態を見て、その願いが叶う事は当分なさそうだと、半ば諦めの気持ちだった。
こういう時アツだったら、真道になんて声を掛けたのだろう。アツの事だから、上手く真道を前へ向けるよう励ますと、俺は思う。
あの頃みたく、どこからともなく飛び出してきて、俺らを驚かせてくれないかな。
どうでもいい話をして、笑い合えないかな。
あの笑顔で溢れた空間が、戻ってくることはもう無いのかな。
僕はあの頃を思い出して、感傷に浸っていた。
一場面を思い出す度に、込み上げてくる感情が制御できなくなっている。
特別な動画たちが、とめどなく俺の脳内で再生されていた。
俺は、目元に溜まった感情を溢さないように起き上がった。
そして二列目にいる二人に気付かれないよう、静かにその涙を拭った。
しかしその涙が止まらない。俺は右腕で目元を隠して、涙が止まるのを待った。
この時に俺は初めて知った。これほどまでに深い傷を負っていたのだと。
あの頃をずっと引きずっていたのだと。俺はそんな自分が、少し情けなく思った。
俺は、隣で寝ている来海を横目に、周りの景色を無言で眺めていた。
所々に広がる田園風景の中に、仲睦まじく会話する、日焼けしたおじいちゃんとおばあちゃん姿があり、濃い緑の街路樹が通りの両端に均等に並んでいた。
天気は曇りの中に、青空が垣間見える程度に晴れていた。
少し歩行者の服装も、丈の長いのが目立っていた。
ある交差点を右に曲がり直進する。
そして少し行った所で白のワゴン車は停止した。