僕らは運命の意味を探していた。

消えゆく想い

 僕、春原真道は状況を飲み込めずに、ただ立ち尽くしていた。

「隼人たちがお墓参りに来てくれて、真道たちの話を聞いた訳さ。」

 一岡と同じ理屈だったから、それについては理解出来ていた。

 しかし、今はそんな話を聞きたいわけじゃない。もっとこの状況に至った経緯が知りたかった。

「龍次が多分主犯だろう、って目星を付けてきたんだよ。あと、隼人の願いを叶えるためにね。」

「願い? それって…………。」

「まあまあ、まずは少し話そうよ。久々だしさ。」

 僕の言葉を遮るようにして、アツは呑気にそう言った。

 僕はアツのその言動を見て、少しだけ嬉しい気持ちになっていた。

「龍次、よくも僕の親友に酷い事をしてくれたね。流石に君でも看過できないよ。」

 アツは微笑みを浮かべてそう言った。笑って言う辺りが、少し怖かった。

「私も真道君の言葉を聞いて間違いだと気づいたよ。しかも真道君を連れて来た理由が、いかに私利私欲に走った行動だったのか、私も反省してる。」

「あのさ、ここまでの事をやるんだったら、感情に押し流されちゃ駄目だって‼ 皆の事を許せなかったのは分かるけどさ。」

 アツは情熱的な声色で一岡に言った。

 正直、この空間に僕の存在意義はない気がした。

 二人だけが会話をし、空気のような扱いの僕は、過ごし方が分からなかった。

「でさ、あきは何でここにいるの? 隼人もそれだけは謎だって言ってたけど。」

 やはりアツは、僕と同じような疑問を持っていたようで、純粋に聞いていた。

 それから、一岡はこの世界についての説明を始めた。聞いている限り、僕に説明した時と情報の違いは無いように思う。

 そして言い終わった後……。

「君は人の命を何だと思ってるんだよ‼︎」

 アツは、僕と同じ趣旨の発言をした。

 考えが似ているからだろう、僕はそう思った。

 僕は、少し恥ずかしい気分になった。

「はい。ごめんなさい……。」

どこか一岡が説教されているように見えた。

 二人のパワーバランスって対等じゃないの?

 僕は疑問の眼差しで二人の会話を見ていた。

「もういいよ、過ぎた事だし。」

 アツは、まるでそれが過去の出来事であるかのように、そう言った。

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