僕らは運命の意味を探していた。
そんなこんなで、二人の会話に一区切りついた。その隙を見計らって、僕が切り出した。
「アツ。あの時は浅はかな考えで答えて、ごめん……。」
流石のアツも少し面食らった様子で僕を見ていた。
しかし、アツは何となく内容を理解したようで、僕に向かって言った。
「あれか・・・・・・。僕、少しむかついてたみたいでさ。」
「だよな。もう少し考えて発言してたらよかったよな。ほんとにごめん……。」
僕はひたすらに謝った。
それが自己満だと分かっていたし、アツがどう思ってもお構いなしに僕は言った。
「冗談だって。怒ってもいないし、逆に申し訳なく思ってたよ。」
僕は、アツの答えに不安を抱えながら待っていた。
しかし、返答はアツ自身の非についてのものだった。
そしてアツは続けて言った。
「あの時は、自分について、理解して欲しかったんだ。僕自身が思っている事を知って欲しくて言ったんだと思うんだよね。病気が悪化してきて、生活にも少しずつ差し支えが見えてきた頃だったから、あんまり周りも見えていなかったと思うんだ。だから、一番話しやすかった真道にあんな態度をとってしまったんだよ。」
アツは申し訳なさそうに、そう言った。
当時、患っていた精神障害がすこしずつ悪化していた時期だったのは、僕にも分かっていた。
でもそんなナイーブな問題に口を挟んで良いものか、僕は葛藤していた。
『なんか困ってたら言えよ』と、遠回しに手を差し伸べてみたものの、彼は僕に何も言わなかった。
そして彼は絶命した。
「でも、僕には分からなかった。理解してあげれなかった。君の親友失格だよ……。」
積年の思いが込み上げてきた。涙が溢れそうになっていた。
一年間悩んで、苦しんで、もがいて。ずっと僕の中で爆発しそうになっていた。
「出会って数か月だけど、いろんな話をして、沢山笑って。いろんな事情も聴いて、相談にも乗って、乗ってもらって、時々喧嘩もして。アツの事、全部知ってたつもり…………だった。」
僕が、精神障害の話を聞いたのは、事故の二週間前。その時に、僕の中の畑ケ野敦は崩れ落ちていった。
嫌いになったとか、幻滅したとか、そんな事じゃない。
アツという人間が分からなくなってしまったのだ。
『精神障害』について、ネットで調べたことがあった。
『人付き合いを避け、引きこもりがちになる。集中力が欠如する。疲れやすい。』
これを見た時に、息が詰まりそうになった。僕はもう、アツをアツとは見られなくなっていた。
そんな状態でも、アツは笑顔を見せてくれた。僕は、僕らとの時間を楽しんでくれているように感じていた。
いつかに聞いた事があった。
無理してないか? と。
でも僕の不安をアツは一瞬で払拭させた。
「そんな事、ある訳ないよ。」
真剣な表情でも、笑顔でも、平然ともしていなかった。アツらしい、柔らかな表情で僕の質問に答えていた。
「僕は何も隠してなかったし、精神障害については、重い空気になるのが嫌だったから言いたくなかったんだ。」
僕は、二年越しにアツの本音を聞いた。
当時、いつも騒がしかった僕らの集団では、笑顔も絶え間なく続いていた。特にアツと隼人の二人が、終始ふざけていた。
でも逆に、そのことが重荷になっていたのかもしれない。
アツにはそんな気は無いかもしれないが、アツ自身が無意識の内に、そう思ってしまっていたとしたら、雰囲気を作った僕らの責任である。
「そっか、ありがとな。気、使ってくれてたんだよな。」
「やめてよ。僕、結構楽しんでやってたんだよ? そう言われるとさ、何か僕が無理してやってたみたいじゃんか。」
アツはそう僕の発言を否定した。
「アツ。あの時は浅はかな考えで答えて、ごめん……。」
流石のアツも少し面食らった様子で僕を見ていた。
しかし、アツは何となく内容を理解したようで、僕に向かって言った。
「あれか・・・・・・。僕、少しむかついてたみたいでさ。」
「だよな。もう少し考えて発言してたらよかったよな。ほんとにごめん……。」
僕はひたすらに謝った。
それが自己満だと分かっていたし、アツがどう思ってもお構いなしに僕は言った。
「冗談だって。怒ってもいないし、逆に申し訳なく思ってたよ。」
僕は、アツの答えに不安を抱えながら待っていた。
しかし、返答はアツ自身の非についてのものだった。
そしてアツは続けて言った。
「あの時は、自分について、理解して欲しかったんだ。僕自身が思っている事を知って欲しくて言ったんだと思うんだよね。病気が悪化してきて、生活にも少しずつ差し支えが見えてきた頃だったから、あんまり周りも見えていなかったと思うんだ。だから、一番話しやすかった真道にあんな態度をとってしまったんだよ。」
アツは申し訳なさそうに、そう言った。
当時、患っていた精神障害がすこしずつ悪化していた時期だったのは、僕にも分かっていた。
でもそんなナイーブな問題に口を挟んで良いものか、僕は葛藤していた。
『なんか困ってたら言えよ』と、遠回しに手を差し伸べてみたものの、彼は僕に何も言わなかった。
そして彼は絶命した。
「でも、僕には分からなかった。理解してあげれなかった。君の親友失格だよ……。」
積年の思いが込み上げてきた。涙が溢れそうになっていた。
一年間悩んで、苦しんで、もがいて。ずっと僕の中で爆発しそうになっていた。
「出会って数か月だけど、いろんな話をして、沢山笑って。いろんな事情も聴いて、相談にも乗って、乗ってもらって、時々喧嘩もして。アツの事、全部知ってたつもり…………だった。」
僕が、精神障害の話を聞いたのは、事故の二週間前。その時に、僕の中の畑ケ野敦は崩れ落ちていった。
嫌いになったとか、幻滅したとか、そんな事じゃない。
アツという人間が分からなくなってしまったのだ。
『精神障害』について、ネットで調べたことがあった。
『人付き合いを避け、引きこもりがちになる。集中力が欠如する。疲れやすい。』
これを見た時に、息が詰まりそうになった。僕はもう、アツをアツとは見られなくなっていた。
そんな状態でも、アツは笑顔を見せてくれた。僕は、僕らとの時間を楽しんでくれているように感じていた。
いつかに聞いた事があった。
無理してないか? と。
でも僕の不安をアツは一瞬で払拭させた。
「そんな事、ある訳ないよ。」
真剣な表情でも、笑顔でも、平然ともしていなかった。アツらしい、柔らかな表情で僕の質問に答えていた。
「僕は何も隠してなかったし、精神障害については、重い空気になるのが嫌だったから言いたくなかったんだ。」
僕は、二年越しにアツの本音を聞いた。
当時、いつも騒がしかった僕らの集団では、笑顔も絶え間なく続いていた。特にアツと隼人の二人が、終始ふざけていた。
でも逆に、そのことが重荷になっていたのかもしれない。
アツにはそんな気は無いかもしれないが、アツ自身が無意識の内に、そう思ってしまっていたとしたら、雰囲気を作った僕らの責任である。
「そっか、ありがとな。気、使ってくれてたんだよな。」
「やめてよ。僕、結構楽しんでやってたんだよ? そう言われるとさ、何か僕が無理してやってたみたいじゃんか。」
アツはそう僕の発言を否定した。