僕らは運命の意味を探していた。
「そうだな、ごめん。君が僕らを楽しませてくれていたんだよな。それもさ、アツだって楽しんでやっててくれたんだもんな。」

 僕はすぐに訂正を入れた。

 アツの意図を否定する事だけは、どうしてもしたくなかった。

「そうだよ。人生で一番楽しい時間だったよ。短かったけど、最初で最後の楽しいと思える時間を送れた。それは君たちのお陰だったよ。ほんとにありがとう。」

 アツの言葉に、僕は首を振った。そして言葉を紡いだ。

「違うよ。アツがいたから、最高の空間だったんだ。僕ら四人だけじゃ、あの空気は出せなかったよ。」

 アツがあっての、僕らの楽しい雰囲気だった。君がいないなんて考えられない。僕は心底そう思っていた。

「僕が存在した意味って、ちゃんとあったんだね。」

 僕の発言から少し間が空いて、アツは声を出した。少し涙混じりの声に、僕もつられそうになってしまった。

「当たり前だろ・・・・・・‼ じゃなきゃ、僕こんなんになって無いから・・・・・・。」

 少し冗談交じりに自虐を挟んだ。

 この場面で必要だったかどうかは抜きにして、どうにか話を繋げたかった。

「最後に、それが知れてよかったよ。これで心置きなく任務が果たせそうだ。」

 そう言えば、最初に『隼人の願い』とかなんとか言っていたのを思い出した。

 いままで交わしていた会話の重要度が、僕の人生の中で極端に高かった。

 その結果、頭の中からすっぽ抜けていたのだ。

「任務って何だよ?」

「まあ、簡単に言うとね。」

「君たちをここから脱出させるって感じかな。」

「お前、そんな事出来んのかよ。そんな方法、二か月ここにいるけど、思いつかなかったぞ?」

 アツは、疑いの視線を向ける僕を気にも留めず、自信に満ちた表情で言った。

「龍次。君さ、あれでこの世界を作ったんだよね?」

「ああ。『あれ』を使ったよ。それしか方法はなかったからね。」

 僕は二人の会話を聞いて、頭の中がハテナマークで埋め尽くされていた。

「『あれ』って何だよ?」

「んっとね・・・・・・。あんまり真道には言えないんだよ。こっち側にも事情があってね。」

 僕は、どこか疎外感を味わった。

< 150 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop