僕らは運命の意味を探していた。
「嫌だよ‼ そんなの恩返しじゃないって。」

「ただの自己満だろ‼」

 僕は必死の形相でアツに言った。

 もしかしたら、口に出してはいけない言葉を、僕は出したのかもしれない。

 僕は少し怖かった。

 でも、当人の表情は少しばかり解れていた。

「何言ってんだ、真道。恩返しなんて全部自己満なんだよ。他人の意思なんて関係ない。したいようにする、それが恩返しってもんじゃん。」

「っ……‼」

 僕はアツの言葉に何も言い返せなかった。

「僕の心残りは、自分の未来。僕は、将来に希望を持っていたんだ。でも君は復讐心でここを作った。なら、君の心残りは憎悪。完全な対局かと言われると自信は無いけど、反対に近しい二つの感情だよね。」

 アツが言った、その理論から行くと、二人共が…………。と言う事になるのだろう。

「それらが合わさる事で、相殺され、消えて無くなる。そして後には何も残らない。一番綺麗な形、だよね。」

「何を言っているんだよ……。それじゃあまるで、自殺と一緒じゃないか……。」

 僕は消えかけの声でそう言った。

 しかしその甲斐なく、僕の声は二人に届いていなかった。

「そして連れてこられた皆は、自然と現実に返還される。また通常の生活に戻るって訳だ。いい収まり方じゃないか?」

「まったく収まって無い‼ 僕はもうここで死んで良いんだよ‼。」

 僕は腹の底から声を出した。

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