僕らは運命の意味を探していた。
「開放。」
「アツーー‼」
僕の雄叫び虚しく、アツは自らの意思で生命力の全開放を行っていた。
太陽の光に反射して、光り輝く白い小さな粒が、四方八方に飛び散っていった。
「真道、ごめんな……。僕にはこうするしかなかったんだよ。どうしても隼人の願いだけは叶えるためにはさ……。」
「ほんと、馬鹿だよお前は……。でも、親友にこんな事をさせてしまった僕は、大馬鹿野郎だよ……‼」
僕は、一岡に自由を拘束されながら、そう叫んでいた。
僕は、涙で濡れた目で周りの状況を確認した。
森や田園地帯、商店街や展望台、この世界の全域で白く光り輝いていた。
僕の目にはそんな、幻想的な光景が広がっていた。
しかし僕は、そんな光景を前にしても、感動できる心持ちでは無かった。
「あきの事、幸せにしてやってよ……。ぞっこんだったもんね。あと、来海と隼人とも仲良くやってよ……。喧嘩して絶縁って、絶対に許さないから。」
「こんな時まで人の心配すんのかよ……。自分の人生振り返った方が良いんじゃないか・・・・・・。」
「こんな時だからこそだって。何十年後になるのかなって思ってたよ、真道と会うの。だから、今こうやって話せてることが奇跡なんだ。」
アツの一言が、僕の胸に突き刺さっていた。
この刻まれた記憶は、消えることはもうないだろう。僕にはその確信があった。
徐々にだけど、周りの風景が消えていく。代わりに真っ白な世界が現れていた。
多分これが二人の言う『生と死の境』なのだろう。僕はそう悟った。
「もうすぐ、僕の役目も終わるよ。この世界が無くなれば、中に紐づけされていた全員が、元の世界に戻るから。」
アツは嬉しそうにそう言った。
一岡はどうやってこの世界を作り上げたのか。僕はずっと疑問に思っていた。
どんな手立てを使って僕らをここに連れて来たのか。疑問点は残ったままだけど、逆に知らない方がいい気が僕にはした。
何の気なしに僕が、この方法を口に出した瞬間に、手軽に警察お手上げの完全犯罪が成立してしまう。
流石に僕もそれを望まないし、教えてもらいたくも無い。
永遠の闇の中に葬った方がいいと、僕は思った。
残りは、僕らのいる校舎だけとなった。止まることは無く、少しずつ白色の世界に侵食されていく。
「そろそろ、お別れだね……。少しだったけど、話せて良かったよ。言いたい事も言えたし、聞きたかった事も聞けたし。」
「僕は、全然よくない……。アツと金輪際会えないなんて、絶対に嫌だよ……。」
僕は泣きじゃくりながらそう言った。
しかしその想いがアツに届くことはなかった。
「ねえ真道。人とはいつか別れは来るものなんだよ。」
そんなこと分かってるよ。
でも唐突にそれを受け入れるなんて僕は、そんな薄情な人間に、なれそうにないんだ。
僕は、アツの決意を受け入れられなかった。
親友として、アツの雄姿を見届ける責務があるはずだと、僕も理解している。
それでも僕は目を背けられずにはいられなかった。
「でも、それ以上に新たな出会いはあるよ。社会に出れば気の合う友達とか親友は沢山いるから、また作って。」
「そんな事言うなよ……。アツは世界で一人だけなんだ。代わりなんているはずないだろ……。」
困らせている事も、往生際が悪い事も、何を言っても変わらない事も、僕はすべて理解していた。
それでも、言わずにはいられなかった。僕の感情をアツにぶつけたかった。
「そうだな。僕も寂しいよ……。皆と話した日々にもう一回混ざりたかったよ……。もっと色んな所に遊びに行ってさ、一杯思い出作りたかったよ……。もっと、君たちと同じ空間で笑っていたかったよ……。」
アツ自身も相当我慢していたのだろう。
「アツーー‼」
僕の雄叫び虚しく、アツは自らの意思で生命力の全開放を行っていた。
太陽の光に反射して、光り輝く白い小さな粒が、四方八方に飛び散っていった。
「真道、ごめんな……。僕にはこうするしかなかったんだよ。どうしても隼人の願いだけは叶えるためにはさ……。」
「ほんと、馬鹿だよお前は……。でも、親友にこんな事をさせてしまった僕は、大馬鹿野郎だよ……‼」
僕は、一岡に自由を拘束されながら、そう叫んでいた。
僕は、涙で濡れた目で周りの状況を確認した。
森や田園地帯、商店街や展望台、この世界の全域で白く光り輝いていた。
僕の目にはそんな、幻想的な光景が広がっていた。
しかし僕は、そんな光景を前にしても、感動できる心持ちでは無かった。
「あきの事、幸せにしてやってよ……。ぞっこんだったもんね。あと、来海と隼人とも仲良くやってよ……。喧嘩して絶縁って、絶対に許さないから。」
「こんな時まで人の心配すんのかよ……。自分の人生振り返った方が良いんじゃないか・・・・・・。」
「こんな時だからこそだって。何十年後になるのかなって思ってたよ、真道と会うの。だから、今こうやって話せてることが奇跡なんだ。」
アツの一言が、僕の胸に突き刺さっていた。
この刻まれた記憶は、消えることはもうないだろう。僕にはその確信があった。
徐々にだけど、周りの風景が消えていく。代わりに真っ白な世界が現れていた。
多分これが二人の言う『生と死の境』なのだろう。僕はそう悟った。
「もうすぐ、僕の役目も終わるよ。この世界が無くなれば、中に紐づけされていた全員が、元の世界に戻るから。」
アツは嬉しそうにそう言った。
一岡はどうやってこの世界を作り上げたのか。僕はずっと疑問に思っていた。
どんな手立てを使って僕らをここに連れて来たのか。疑問点は残ったままだけど、逆に知らない方がいい気が僕にはした。
何の気なしに僕が、この方法を口に出した瞬間に、手軽に警察お手上げの完全犯罪が成立してしまう。
流石に僕もそれを望まないし、教えてもらいたくも無い。
永遠の闇の中に葬った方がいいと、僕は思った。
残りは、僕らのいる校舎だけとなった。止まることは無く、少しずつ白色の世界に侵食されていく。
「そろそろ、お別れだね……。少しだったけど、話せて良かったよ。言いたい事も言えたし、聞きたかった事も聞けたし。」
「僕は、全然よくない……。アツと金輪際会えないなんて、絶対に嫌だよ……。」
僕は泣きじゃくりながらそう言った。
しかしその想いがアツに届くことはなかった。
「ねえ真道。人とはいつか別れは来るものなんだよ。」
そんなこと分かってるよ。
でも唐突にそれを受け入れるなんて僕は、そんな薄情な人間に、なれそうにないんだ。
僕は、アツの決意を受け入れられなかった。
親友として、アツの雄姿を見届ける責務があるはずだと、僕も理解している。
それでも僕は目を背けられずにはいられなかった。
「でも、それ以上に新たな出会いはあるよ。社会に出れば気の合う友達とか親友は沢山いるから、また作って。」
「そんな事言うなよ……。アツは世界で一人だけなんだ。代わりなんているはずないだろ……。」
困らせている事も、往生際が悪い事も、何を言っても変わらない事も、僕はすべて理解していた。
それでも、言わずにはいられなかった。僕の感情をアツにぶつけたかった。
「そうだな。僕も寂しいよ……。皆と話した日々にもう一回混ざりたかったよ……。もっと色んな所に遊びに行ってさ、一杯思い出作りたかったよ……。もっと、君たちと同じ空間で笑っていたかったよ……。」
アツ自身も相当我慢していたのだろう。