僕らは運命の意味を探していた。
 その一言が起爆剤となって、僕らは噴き出してしまった。

 自分たちの言っている事がおかしくて、情けなくて。

 そして、今のこの状況があまりにも平和的で。

 もしかしたら、僕たちは真の意味での青春を送れるようになったのかもしれない。僕にはそう思えた。

 その後も和やかになった雰囲気の車内は、盛り上がりの一途をたどり、やがて目的地に到着した。

 六人はそれぞれ、花や水、線香などの道具を持ってアツの墓に向かった。

 道中、僕の心は複雑だった。

 一通りの準備を済ませて、三人ずつお参りをした。

 僕は初めの三人に入った。

 理由としては、誰よりもアツに話すことが少ないから。というか話す事すらしないから。

 早めに切り上げて、誰かに理由を聞かれても、『待っている人がいるから』と、もっともらしい言い訳が可能だったから。

 こんな事を考える自分は、もしかしたら薄情なのかもしれない。

 思い入れの強い人だったら、こんな状況でもお墓参りは、人一倍気合を入れて行うのだろう。

 しかし、僕にはそれが出来なかったし、やる気もなかった。

 思惑通り、人より早めに切り上げてみんなが終わるのを待った。

 驚いた事に、一番長く手を合わせていたのはあきだった。

 理由を聞くのは野暮な気がして、聞く事はしなかったが、あきがどんな事を語ったのか、僕は気になっていた。

 あきが終わるのを全員で待った。誰一人として、口を開くことは無く、その時を待った。

 そして終わったタイミングで、あきは申し訳なさそうに僕の隣に来た。

 特に深い意味は無いけれど、二人横並びで歩いていると、少しほっこりとした気分になった。

 それから今度は、一岡のお墓に向かい、同じ一連の流れをこなして、また手を合わせた。

 今回は紗南と司令官の二人が最後までお祈りしていた。

 夏休み最後の日でも、日差しは容赦なく僕らの体力を奪っていく。

 額には汗が乗り、Tシャツの脇や背中の部分は、色が変わっていた。

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