僕らは運命の意味を探していた。
「この後はどこに行くんだよ。」

「ああ。それは行ってからのお楽しみだ。」

 隼人は、どこか嬉しそうに僕に言った。

 それだけ連れて行きたい場所があったのだろう。少し小走りで車に戻った。

 僕は好奇心と不安感を抱きながら、車窓の外の景色を見てその道中を過ごしていた。

 見覚えも全くない景色で、不安の感情が大きくなっていく。

「ここって……十六夜ダムか……?」

「知ってんのか、お前。」

「ああ。来るのは初めてだけど、存在くらいはな。一応僕の故郷だし。」

 僕は、変わり果てた自分の故郷を目の当たりにして、やはり何とも言えない気分になっていた。

 しかも背景を知っている身としては、余計に受け入れられなかった。

 気乗りしない様子で僕は、ダムの中に入っていった。

 そこには当てつけなのか、十六夜村記念館らしき場所があって、そこで資料などを見漁っていた。

「見覚えあるのか?」

「いいや全く。物心つく前に離れちゃったから、なんのこっちゃ分からないよ。」

 僕が離れたのは三歳の頃。

 あの世界でどこが自分の家だったかなんて分からないし、紗南と司令官に至っては二歳の時には、十六夜村を離れていたそう。

 でも、自分の生まれた町だから愛着くらいはあった。

 だからダムになったのは、とても悲しかった。

「真道たち、ちょっと見せたいところがあるから、付いてきてくれねえか?」

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