僕らは運命の意味を探していた。
これだけの量を入れたのも、発見する時間を遅くさせる嫌がらせだろう。小さな紙きれを探す手間を増やしたのだ。思っていた以上に量が多い。
まだ半分以上の段ボールが残っているのにもかかわらず、時計の針はてっぺんを超えた。
隣近所にはそう言ったものが見受けられない。それが不幸中の幸いだった。
「真道、こんな所にいたのか……。上の階は終わったよ。次はどうする。」
紗南は高揚したような表情を浮かべ、息を切らしながら僕の指示を仰いだ。
「他の家を調べておいてくれないか。多分だが、他の所はすぐに片が付きそうなんだ。」
僕は紗南を見上げて言った。
「分かった、見てくるよ。」
そんな僕の願いを何の躊躇も無く聞き入れた彼女は、走って次の現場に向かってくれた。
彼女の後姿が僕にはどこか逞しく見えて、無意識的に微笑んでしまった。
「戻ったぞ。他の家には何もなかった。」
若干笑顔を浮かべて、急いだのか、紗南は更に息が上がっていた。
やる気に関しては人一倍あって、僕なんか比較対象にならないくらいエネルギッシュだった。
「そうか、分かった。」
「ああ。じゃあこっちを手伝うな。」
「休まなくて大丈夫なんか? さっきから動きっぱなしだろ。」
「いいよ。何だか私って体力あるみたいだし。」
僕は、紗南の輝いている目を見て、これ以上言っても野暮だからやめておこうと思った。
調べ終わった段ボールを除くと、残りは四つか……。
でも一番手前のやつは、防災用品だから望みは薄そうだ。多分残り三つの内に入っているはず。
そして三つの段ボールを並べてみると、そこには資料の山があった。
「あったよ。メモ見つかった。」
「ああ、こっちもだ。」
手分けして探した結果、手掛かりは三つ見つかった。しかもいい感じに時系列になっているから、状況としては良好だと思う。
これは良い報告が出来るだろうという予測が、安易に立てられて、僕は少し誇らしい気持ちになった。
「五月二十九日。また今日も殴られた。僕何もしていないのに……。」
「六月二十日。あれから一か月が経ってもまだ続いている。しかも根も葉もない噂が広がっている。」
「七月三十日。夏休み三日目、学校で夏期講習があった。その時、身に覚えのない事で悪口を言われた。どうして僕ばかりがこんな目に……。」
そう三つ続けて言ってみたものの、分かった事は、書いた人物がいじめられているという事だけだった。
これだけ労力を払って、これだけだったのか。そう残念がる自分がいる事は否めなかった。
僕は諦めて段ボールを元に戻そうと立ち上がった。
まだ半分以上の段ボールが残っているのにもかかわらず、時計の針はてっぺんを超えた。
隣近所にはそう言ったものが見受けられない。それが不幸中の幸いだった。
「真道、こんな所にいたのか……。上の階は終わったよ。次はどうする。」
紗南は高揚したような表情を浮かべ、息を切らしながら僕の指示を仰いだ。
「他の家を調べておいてくれないか。多分だが、他の所はすぐに片が付きそうなんだ。」
僕は紗南を見上げて言った。
「分かった、見てくるよ。」
そんな僕の願いを何の躊躇も無く聞き入れた彼女は、走って次の現場に向かってくれた。
彼女の後姿が僕にはどこか逞しく見えて、無意識的に微笑んでしまった。
「戻ったぞ。他の家には何もなかった。」
若干笑顔を浮かべて、急いだのか、紗南は更に息が上がっていた。
やる気に関しては人一倍あって、僕なんか比較対象にならないくらいエネルギッシュだった。
「そうか、分かった。」
「ああ。じゃあこっちを手伝うな。」
「休まなくて大丈夫なんか? さっきから動きっぱなしだろ。」
「いいよ。何だか私って体力あるみたいだし。」
僕は、紗南の輝いている目を見て、これ以上言っても野暮だからやめておこうと思った。
調べ終わった段ボールを除くと、残りは四つか……。
でも一番手前のやつは、防災用品だから望みは薄そうだ。多分残り三つの内に入っているはず。
そして三つの段ボールを並べてみると、そこには資料の山があった。
「あったよ。メモ見つかった。」
「ああ、こっちもだ。」
手分けして探した結果、手掛かりは三つ見つかった。しかもいい感じに時系列になっているから、状況としては良好だと思う。
これは良い報告が出来るだろうという予測が、安易に立てられて、僕は少し誇らしい気持ちになった。
「五月二十九日。また今日も殴られた。僕何もしていないのに……。」
「六月二十日。あれから一か月が経ってもまだ続いている。しかも根も葉もない噂が広がっている。」
「七月三十日。夏休み三日目、学校で夏期講習があった。その時、身に覚えのない事で悪口を言われた。どうして僕ばかりがこんな目に……。」
そう三つ続けて言ってみたものの、分かった事は、書いた人物がいじめられているという事だけだった。
これだけ労力を払って、これだけだったのか。そう残念がる自分がいる事は否めなかった。
僕は諦めて段ボールを元に戻そうと立ち上がった。