僕らは運命の意味を探していた。
その瞬間、悲鳴を上げる紗南の姿があった。

「あぁぁぁぁ!……。頭が、割れる……。」

 頭を抱え悶絶する彼女は、右に左に体を揺らしながら、痛みが過ぎ去るのを待っていた。

「お、おい。紗南、どうしたんだよ。おい紗南……。」

状況が呑み込めない僕は、紗南に呼びかける事しか出来なかった。

 少しずつ落ち着いてくると、紗南は起き上がり脱力していた。しかし混乱状態なのか、顔色が真っ青だった。

「いいか、深呼吸だ。心を落ち着かせて……。」

 僕は紗南に促して遂行させた。すると次第に顔色が良くなっていく。僕はその様子を見て、少し安堵した。

「あり、がとう……。落ち着いたよ……。」

 紗南は息が辛い中で、そう僕に伝えた。

僕はゆっくりと背中を擦った手を退け、黙って紗南を見守った。

 息もようやく落ち着きを取り戻し、話せる状態になったのを確認してから、僕は紗南が悶絶するまでの経緯を聞いた。

「一つ目は何とも無かったんだけど、二つ目を聞いた瞬間に割れるような激痛がしたんだ……。」

「二つ目のメモに何か心当たりでもあるのか?」

単純な発想で僕は紗南に問うたが、紗南は首を横に振って言った。

「いいや、全く無いよ。」

 あと、僕が残る心当たりとすれば、消えた記憶だけになる。もし関係しているとしたら、大きな発見であることは間違いない。

 僕は期待感に胸を膨らませながら、紗南に提案した。

「とりあえず、一旦基地に戻ろう。話はそれからだ。」

 足取りが覚束ない紗南に肩を貸してひとまず屋内に入る。なにせ気温が高い。極力日陰を目指し、そこで暑さをしのぐことにした。

 とりあえず今は報告しないでおこう。多分各々が活動中だから実りのある話し合いは出来ない。
< 22 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop