僕らは運命の意味を探していた。
「マー君。司令官さん、凄い痛がり様だったけど大丈夫なの?」

 司令官。今日の朝に俊也が言い出した呼称である。なんでも、「俺が全体の流れを決めるから、これからはそう呼ぶように。」と、誰の許可を得た訳でもなく勝手に決めてしまった。

 勿論、友花と紗南は大ブーイング。昼間の毒舌はこのせいである。

 そんな司令官を心配して、あきは気にかけている様子だった。

「心配ない。すぐに収まるはずだから。」

 そりゃ心配にもなるよな。尋常では無い悶絶の仕方を間近で見ていたんだから。

 不安に思わない奴の方が、逆に普通の人じゃない。

 不安げな面持ちで二人を見つめるあきは、ゆっくりとした頷きを僕らに披露した。

 それはどこか、無理やり感情を押し込めているように僕の目に映った。

二人が回復するのを待つ間、机に向かって思考を巡らせた。もしかして見落としがあるかもしれないと、目を皿にして探した。

 分かった事とすれば、書き主は周りから酷い扱いを受けていて、しかも内容はかなり理不尽極まりない。

 しかも何らかの形であの三人が関わっているはず。あの痛がりよう、僕が感じたものの上位互換と考えれば彼らが失った記憶に関わりがあると考えるのが自然だ。

 ただ確証がない。僕の考えは一仮説でしか無くて、ゲームマスターが仕掛けたミスリードの可能性もある。

 こんな初期段階で重要な手がかりを残す、なんて馬鹿げた誤りを犯すはずがない。

 とりあえず、考えうる可能性の中で結論めいたものを出してみた。その正誤判定は今後の様子次第だ。
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