僕らは運命の意味を探していた。
階段の一番上に上がり、その一番端に腰かけると壁に寄りかかって目をつぶった。
風が気持ちいい。僕の温度の上がった脳を冷やしてくれるような、そんな心地よい風が吹き抜けていた。
懐かしい感じがしていた。確か、高一で誰かと体育館裏の階段でこんな事をしたような……。
うっ、痛っ……。
やっぱり記憶には頑丈な鍵が施されているようだった。簡単には解かれないよう、厳重な大金庫のような鉄壁の防御で守られていた。
せっかく記憶の片鱗が垣間見えたというのに、すぐに遮断されてしまうだなんて。もう手の出しようがないじゃないか。
頑張って痛みに耐えれば、こじ開けられるのか?
いや駄目だ。痛いだけで霧は一切晴れそうにない。
やっぱり、あいつらの回復を待つしか手立てはなさそうだ。
不意にあくびを浮かべて、僕の視界は暗闇に包まれた。
夢を見ていた。
どんな夢なのか。簡単に言えば昔話が脚色されて、その映像が永遠と流れているだけの至ってシンプルな夢。
でもそこには死も恐怖も無い平和で平穏な日々が描かれている。はっきり言ってこの世界とは真反対だ。
「……」
声が聞こえる。楽しげに笑う女の子と騒ぐ男の子二人が、遠くで話に花を咲かせているのが微かに耳に届いた。
混ざりたいな……。
僕もその平和的風景の一員になりたい。そして青春を謳歌して、思い出だけで記憶を埋め尽くしたい。
「真道。」
あれ? 僕の名前を呼んでるようだ。
なぜだろう。あの三人、顔も見えないし人物を特定するのは困難だし、あの声色も聞いた覚えのないものだ。
そんな人たちがどうして僕なんかを……。
「おい、真道起きろって。」
「ん? ここはどこ……、って紗南、お前。何してんの……?」
紗南は上から覗き込むような形で僕を見ていた。彼女は、なぜか当たり前のように「膝枕だよ。」と言い放った。
「なんで?」
「んーー……。何となく。顔見てたらやりたくなった。」
紗南はノリ的な感じだったと思うが、冷静になって考えれば誰でも分かる。これはノリでやっていい行為ではない事を。
「僕を困らせてそんなに楽しいか?」
僕は嫌味混じりで聞いてみた。
「うん! 最高に楽しいね。」
僕はその返答に対して「最低。」と低めのトーンでいった。
現実世界の僕がどんな人格だったか知る由も無いが、この胸の高鳴りは、最低でも女性経験が豊富だった訳では無いようだ。
心臓の動悸が止まらないのが、確固たる証拠だった。
僕はその事を紗南に悟られないよう、別の話題を振る事にした。
「というか、二人の様子はどうだった?」
「うん。もう平気っぽかった。」
状況から考えると大方、僕を呼びに来たってとこだろう。
それで、自分で言うのもあれだが気持ちよさそうに寝ていた僕を見て、からかいついでに膝枕をしたくなった。そんな予想を勝手に巡らせていた。
折角、賢くて常識のある女子がいて安心していたのに……。
紗南をどう見ていいか分からなくなったよ。
風が気持ちいい。僕の温度の上がった脳を冷やしてくれるような、そんな心地よい風が吹き抜けていた。
懐かしい感じがしていた。確か、高一で誰かと体育館裏の階段でこんな事をしたような……。
うっ、痛っ……。
やっぱり記憶には頑丈な鍵が施されているようだった。簡単には解かれないよう、厳重な大金庫のような鉄壁の防御で守られていた。
せっかく記憶の片鱗が垣間見えたというのに、すぐに遮断されてしまうだなんて。もう手の出しようがないじゃないか。
頑張って痛みに耐えれば、こじ開けられるのか?
いや駄目だ。痛いだけで霧は一切晴れそうにない。
やっぱり、あいつらの回復を待つしか手立てはなさそうだ。
不意にあくびを浮かべて、僕の視界は暗闇に包まれた。
夢を見ていた。
どんな夢なのか。簡単に言えば昔話が脚色されて、その映像が永遠と流れているだけの至ってシンプルな夢。
でもそこには死も恐怖も無い平和で平穏な日々が描かれている。はっきり言ってこの世界とは真反対だ。
「……」
声が聞こえる。楽しげに笑う女の子と騒ぐ男の子二人が、遠くで話に花を咲かせているのが微かに耳に届いた。
混ざりたいな……。
僕もその平和的風景の一員になりたい。そして青春を謳歌して、思い出だけで記憶を埋め尽くしたい。
「真道。」
あれ? 僕の名前を呼んでるようだ。
なぜだろう。あの三人、顔も見えないし人物を特定するのは困難だし、あの声色も聞いた覚えのないものだ。
そんな人たちがどうして僕なんかを……。
「おい、真道起きろって。」
「ん? ここはどこ……、って紗南、お前。何してんの……?」
紗南は上から覗き込むような形で僕を見ていた。彼女は、なぜか当たり前のように「膝枕だよ。」と言い放った。
「なんで?」
「んーー……。何となく。顔見てたらやりたくなった。」
紗南はノリ的な感じだったと思うが、冷静になって考えれば誰でも分かる。これはノリでやっていい行為ではない事を。
「僕を困らせてそんなに楽しいか?」
僕は嫌味混じりで聞いてみた。
「うん! 最高に楽しいね。」
僕はその返答に対して「最低。」と低めのトーンでいった。
現実世界の僕がどんな人格だったか知る由も無いが、この胸の高鳴りは、最低でも女性経験が豊富だった訳では無いようだ。
心臓の動悸が止まらないのが、確固たる証拠だった。
僕はその事を紗南に悟られないよう、別の話題を振る事にした。
「というか、二人の様子はどうだった?」
「うん。もう平気っぽかった。」
状況から考えると大方、僕を呼びに来たってとこだろう。
それで、自分で言うのもあれだが気持ちよさそうに寝ていた僕を見て、からかいついでに膝枕をしたくなった。そんな予想を勝手に巡らせていた。
折角、賢くて常識のある女子がいて安心していたのに……。
紗南をどう見ていいか分からなくなったよ。