僕らは運命の意味を探していた。
確かに革新的な情報を得た訳では無いが、情報が多いに越した事はない。あればあるだけ良いのだ。

 会話がひと段落すると、僕は木製の窓枠に両手を乗せ、外の風景をじっと眺めていた。

 目的なんか一切なくて、ただこうしている間だけは、現実から逃げられ利用な気がした。

「マー君さ。こういう感じの、好きだよね。」

 あきは、僕の左側で落ち着いたトーンでそう言った。

「まあな。何か心が落ち着くというか、感慨深くなるんだよ。こうしてると。」

 ふふっ……。

 そう微笑むあきは、なぜか僕と同じ体勢をとっていた。

「小学校の時から、時間があるとこうやって、一人で遠くを見てたの。私が声を掛けても、自分の世界観に入ってさ、全然聞いてくれなかった。でも、いいなって思っちゃうの。」

「どうして?」

「私もね、そんな感傷に浸れるような環境が欲しかったの……。なんてね、冗談。ただどんな気分なんだろうって知りたいだけ。」

「あき、お前まさか……。」

「さーて。私も夜風に当たってくるね。」

 あきは、そう言って逃げるように廊下に方へ消えていった。なぜかその時だけ、どこか厚手のコートを羽織る姿が見えた様な気がした。

 彼女は何かを隠している。全く検討も付かないけど、僕の知らない重要な何かを持っていると思う。

 でも何で言わないんだろう? 

 この状況下で一番いけないのが隠し事のはずなのに。
< 29 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop