僕らは運命の意味を探していた。
「そっか。そうだな・・・・・・。」

 司令官は、少し納得したようにそう言った。

 それからは、たわいもない話をして時間を潰した。

 夜間の捜索の恐怖心は、随分と薄れて忘れられるほどに、僕の心の端に追いやられていた。

 「お帰り……って、マー君どうしたの?」

 僕らは、ようやく落ち着ける場所に帰って来られた。

 校舎の眩しいほどの光も、僕らにとって今は、一つの安心材料だった。

 その安心感に浸っていると、階段で僕らの帰りを待っていたあきの姿が目に入った。

 僕に心配そうな眼差しを向けてくれる彼女だったが、僅かに指先に赤みがあるのに、僕は気づいた。

 僕は司令官にお礼を言うと、すぐさまあきの手を取った。

「ずっと待ってたのか?」

「うん。でも大丈夫だよ。…………ックシュン。」

 僕は、漫画の典型のようにくしゃみをしたあきに、苦笑を浮かべた。

 いくら夏だからと言っても夜間に、ワイシャツとスカートだけで外に出るのは流石に体に悪い。

 しかも今日は涼しい風が吹いていて、比較的気温も低い。心配をかけた僕らが強く言えることでは無いが、もう少し自分の体を大切にしてほしい。

 
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