僕らは運命の意味を探していた。
 「どうするよ、これから。」

 声がする。

 左側に立ち並ぶ教室の一番奥から、低い男性の声が。そしてそれに反応する数人の男女の声。そこには様々な色が入っていて意見も割れているようだ。

 否定的な青い意見、情熱の赤い意見、人任せのグレーな意見、和む雰囲気の緑の意見。そして意見を出さずにまとめる一人の男性。聞いている情報から察すると、今後の動きについて意見が割れているようだ。

 「どうするって……、無理だよ俺らには……。」

 弱々しい男の声。

「無理って、何はなから諦めてんの?」

 気の強そうな女の声。

「そうだよ。どうにか出来る事はきっとあるって。」

 どこか聞き覚えのある女の声。

「うーん……、何とも言えないけど、まずは情報収集からだよね。」

 冷静に分析する声。

 こうもバランス良くタイプが別れるとは何かあるのだろう。人為的な出来事な匂いが増してきて、不安感が比例する様に大きくなっていった。

 しかし五人で上手く話が回っているようで、僕は声のする教室で気配を消し端の方で壁にもたれていた。別に僕が参加しなくても話はまとまるだろうし、逆に下手に出しゃばると混乱を招く恐れもある。ここは黙っておくのが最適な気がした。

 
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