僕らは運命の意味を探していた。
 浴衣姿の彼女が指差したのは、神社の方だった。

「あんなとこ行って、何するんだよ。」

「まあいいから、付いてきてよ。」

 僕はため息をつきながら、彼女の横を歩いた。

 「とうちゃーく! ここだよ、私が連れてきたかったのは。」

 神社の奥にある階段を上がった先に、ひっそりと存在する展望台のような場所。

 そこから眺める景色は、息をのむような絶景だった。

「同じ星空でも、教室から見る建物に邪魔されたものと、遮るものが何もないここの景色。私は断然ここからの景色が好き。」

「だな・・・・・・。比べ物にならないくらい、綺麗だ……。」

 僕はその雄大な景色に目を奪われていた。
僕らは近場に二つ並んだベンチに腰かけて、天然プラネタリウムを堪能していた。

「これがあいつの創造物だって思うと、悔しいけどさ、凄い景色だよな、これ。」

「そうだね……。ずっと見ていたいかも……。」

 そして、僕らは時間と互いの存在を忘れて、満天の星空を見耽っていた。

 こんな穏やかで平和的な世界を誰が想像しただろう。『デスゲーム』の舞台には到底思えない、心休まる風景だった。

 
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