僕らは運命の意味を探していた。

久しぶり


 再び、連れ去られた四人へ。

 僕は今日も、終わりの見えない頭痛と戦いながら、捜索活動を続けていた。

 日数も二桁に乗せて、皆の顔にも焦燥の色合いが見え隠れするようになってきた。

「今朝は一枚か。」

 頭を掻きながら司令官は言った。

「だね、流石に厳しいね。この状態を打破するためには、どうしたらいいんだろう?」

 あきも半ば諦めの声色で問いかけてきたが、僕もその答えを知りたい人間の一人だった。

 だから答えを用意できるはずもなく、押し黙っていた。

「まあ、ちょっと休憩してからでもいいんじゃない? 体だって疲れているでしょ。」

 紗南は休憩をとろうと促した。働き詰めで、疲労も蓄積してきた中だったから、異論を唱える人はいなかった。

 司令官が解散の合図を出した後、紗南や友花は教室を後にした。

 時折笑みを浮かべながら、交わす言葉が弾んでいるように聞こえた。

 僕は窓側にいる司令官の隣に寄りかかった。

 司令官は窓枠に腕を乗せ、身を乗り出すようにして外を眺めている。司令官は僕の存在に気が付いたのか、おもむろに口を開いた。

「焦ってる、ね……。そうかもしれない。昨日あれだけ偉そうに言ったのに、言った本人がこれじゃ駄目だな。」

 自らを卑下する司令官に僕は笑顔で首を振った。

「駄目なんかじゃないよ。僕たちだって、昨日はものすごい焦ってたんだ。それを気付かせてくれたのが司令官だったんだからさ。」

「そっか・・・・・・。じゃあ俺も何か司令官らしい仕事が出来てたんだな。」

 司令官は嬉しそうに笑った。

 風に晒され靡く髪もあって、彼の顔はより一層凛々しく見えた。

「ああ。僕らには欠かせない存在になったよ。もう司令官なしじゃ、脱出は厳しいかもな。」

「ったく、上から目線で言いやがって。でも、ありがとう何か元気出たよ。」

「……一言余計だっつーの。」

 僕はそう笑いながら言った。

 僕もそのまま司令官にならって、外の景色を眺めていた。

 
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