僕らは運命の意味を探していた。
 アツとの喧嘩の後、僕は一人教室に残り自習をしていた。

 カッとなって、言う気の無かった言葉まで発してしまったことに、猛烈に後悔しながらも、気にしないふりをしてペンを走らせていた。

 ふと、教室から下校中のアツの姿が見えた。惰性的に彼の姿を目で追い、見えなくなるまで続けようと思っていた。

 その矢先、赤信号に飛び込んだ親友の最期を目撃してしまった。この時、僕はただ呆然と眺めている事しか出来なかった。

 後から聞いた話、衝突直後には、まだアツの意識もあって、すぐに救急車を呼んでいれば助かったらしい。

 しかし僕の頭はその光景が原因で真っ白になり、救急車という選択肢を思い浮かべられず、走って事故現場に向かうという行動をとってしまった。

 今でも後悔していた。

 なぜ走り出す前に携帯で電話を掛けなかったのかと。もしかしたら親友を助けられたかもしれない。

 そう思うだけで胸が張り裂けそうになった。

 
そして、僕の目の前でそれが今繰り返された…………。


「ああ………………‼ ああああ……‼」

 僕の地鳴りのように発狂する声が、校舎中を駆け巡った。

「おい‼ どうしたんだよ、真道。おい‼」

 二人は異常事態を察知して、猛ダッシュで僕の下に来た。

「おい、しっかりしろ‼」

 しかし僕は反応できる状態では無かった。

 しかも再び黒い渦が出現し、あきの身代わりさえも無駄になりそうな状態だった。

 そこで司令官は僕の背後に回ると、僕の首元をチョップした。瞬間的に僕の意識をとばしたのだ。

「そういえば、あきの奴どこ行った? この時間はいつも一緒にいるはずだろ?」

 紗南は僕の表情を見て泣きだしてしまった。

 それを見た司令官は、状況を察したようで、どこか信じられないような表情をしていた。

「う、嘘だろ……。多分、どっかで散歩でもしてんじゃないか。紗南、ちょっと付き合えよ……。」

「……司令官。……もう、やめて。」

 司令官を諭すように、紗南はそう消えるような声で言った。

「こうなっちゃったものは、もう戻れない・・・・・・。だから、まずは真道が起きた時に、正常な状態にする方法を考えることが先決・・・・・・。悲しむのはその後・・・・・・。」

 司令官は紗南の意見に納得した。

 まだこれはただの応急処置に過ぎないから、次なる手を考える必要があった。

 なぜなら、何度も使える手ではないから。最悪の手段として残しておきたかった。

「私たちで、後はどうにかしていくしかもう無い。だから、今まで以上に協力しないときついよ。」

 紗南は少し落ち着いたようだった。

「……そうだな。今まで真道には助けられっぱなしだったから。ここで少しくらい返しておかないとな。」

 司令官と紗南は、二人会議を始めると、今後の予定について、今まで以上に真剣に話し合いをした。

 そこには昔あったような敵対心もなく、ただお互いがリスペクトしあい、現状をよくするために高め合う最高のパートナーとなった二人がいた。

 現時点で十七日が経過していた。
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