僕らは運命の意味を探していた。

狼煙

「とりあえず、すぐに死ぬことは無いよ。でもいつその時が来てもおかしくないから、覚悟だけはしておいてね。高校生にはちょっと厳しく聞こえちゃうかもしれないけど、私も初めてのケースだから、正確な事は何も言えないんだ。でも危険な状態である事は確かだよ。」

 躊躇なく、医者は弱冠十七歳の子供に現実を告げた。そして、そのメガネをかけ身長の高い男性の医者は、その場を去っていった。

「まじかよ……。」

「言葉が、見つからない、わね……。」

 目の前には、沢山の管と呼吸器が繋がれた二人の親友の姿があった。

 今、改めて見ると、二人ともにやせ細り口の中もだいぶ乾燥していた。医者の言っていた通り、真道たちは危篤状態なのだろう。

「目、覚ますわよね……。」

「ああ、大丈夫。あいつらなら絶対に目を覚ますよ。」

 嘘でも、無根拠でも、俺はそう言っておきたかった。そうでもしないと、自分が潰れてしまいそうだから。

 突然、親友の死がそこまで近づいてきて、いざ現実になった時、俺は俺でいられなくなるだろう。

 「まあ、そろそろ帰ろうぜ。長くいてもしょうがないからな。」

「うん……。」

 
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