僕らは運命の意味を探していた。
 日差しが僕の脆弱な体を黒く染めていく。

 徐々に色を変化させながら、グラデーションのように均等に。

 記憶を頼りにして考えを巡らせる中で、少々気がかりな事があった。

「……ここだな。」

自分にのみ聞こえる音量でそう呟くと、辺りを見渡し僕の推論と照らし合わせる。

 結果から言うと、『勝ちが見えてきた』という感じだった。

 あとは残りの紙きれをどう探すかだ。皆目見当が付かないこの状況で、ヒントになりえるものは無かったはずである。

 時間的観点でいくと、そこまで余裕がない。だから、手数をいかに減らすかが、僕の目標到達には必要不可欠だった。

 経験則で行くと、一か所に必ず一枚、というのが原則当てはまるパターン。他の場合は一回も聞いた事がない。

 だから、存在する紙きれ分、探し当てないといけないという、中々のハイレベルさで戦う事になる。

 しかし今の僕に、守るものは無い。だから気楽に行こうと思った。

 自分がお役御免になったら、あとの事は二人に託せばいい。投げやりな言い方だが、二人の行動力でカバーできるだろう。

 後は、走り出せば全てが終わる……。

 この無意味だった人生に、終止符が打てる……。

「……なんで動かないんだよ。」

 誰の役にも立てなかった人生で、やっと人のために生きられる時がやってきた。

 なのになんで? 

 僕はそれを望んでいたんじゃないの? 

 こんな苦痛に満ちた自分の人生に、やっと終点を迎えられるのだからさ。

 僕は望んでいるはずなんじゃないのか?

 
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