僕らは運命の意味を探していた。
 僕はおもむろに、自分の人生を振り返っていた。

 幼稚園の時に、櫻子あきという人間に出会って、友達もろくに出来ないまま高校生に上がると、三人の友達というか親友が出来た。

 嬉しくて楽しくて、幸せに満ちた生活を送れていた。

 でも、アツが死んだ。僕の何気ない一言によって、親友が絶命した。

 その事実に耐えられなくて部屋に引きこもりがちになり、人とも距離を置いた。

 小学生の頃から、人の嫌がる事を率先的にやったし、肯定的な言葉をずっと掛けていた。

 友達が欲しくて、誰かと遊びたくて、何度も繰り返していた。

 でも周りは僕より、面白いやつ、騒がしいやつの元に集まった。

 気にくわなかった。

 何倍も人の事を考えて行動していた僕より、何も考えない、猿のような奴の周りに人が集うことが、何よりも嫌だった。

 馬鹿らしくなった僕は、取り繕う事を辞めた。人と無理に関わろうとしないし、自然な流れが来るのをひたすら待った。

 結論を言うと、今までと何の変化も無かった。一人机に座って窓の外を眺めて、時々人を見てはどんな心理状態なのかを考えた。

 その中で、あきだけは僕の事を見捨てなかった。

 いつかに、優しいと言ってくれたが、そんな人は彼女ぐらい。

 他の親友たちでさえ「変なやつ」といじってくる。僕はそんなあきに、感謝しかなかった。

 しかし、僕はそんな精神的支柱を失った。あきという名の、僕の心の支えが遥か彼方に消え去った。

 しかもその原因が自分だった。その事が、僕の精神状態を更に安定から遠ざけてしまった。

 彼女は見たまま、裏表のない素直で優しく、時に天然で、人の事を一番に考えていて、突っ走っちゃうとこもあって。

 そんな素敵な彼女は現実世界でも、友達がたくさんいた。

 中学時代、僕が話しかけるだけで周りの友達から無言の圧力を感じた。

 来るな、お前ごときが話しかけるな、陰キャのくせに。そんな罵詈雑言が聞こえてくるようだった。

 しかし、こんな奴でも、あの子は自分の事を好きだと言ってくれた。その事実はゆるぎない。

 きっと中学時代のそいつらだったら、鼻で笑っていたと思う。あきの周りで、ある事ない事吹き込んで、嫌いにさせるように仕向けていただろう。

 そこで彼女がどう返答するかは分からないけど、僕は言い続けると思う。

 あきが好きだと。

 そんな自分だから死にたくない。彼女を好きになった自分だから、その自分を誇りに思っているから。

 あきの精神的支柱になれていたのかもしれないじゃないか。

 あの笑顔を支えられていたかもしれないじゃないか。

 確証が無いのが残念でならないけど、きっと彼女は言ってくれると思う。

「マー君のお陰で」って。満開の桜のような笑顔で。

 そんな彼女の笑顔を勝手に妄想していると、いつの間にか足が動くようになっていた。

 僕は軽くなった足で、目的地まで駆けていく。二人が明日を掴めるように。

 
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