僕らは運命の意味を探していた。
 来海はというと、俺の背後で開く瞬間を見つめていた。僕の右肩に手を乗せて、そっと顔だけを覗かせていた。

 俺は中身を拝もうと、決心を固め勢いよく開けた。

「ガラクタじゃねえのか、これ。」

 俺は少し落胆した。あれだけ、苦労して開けた段ボールの中身が、ガラクタまみれだった。

 詳しく中を見てみると、使い古しの教科書やノート、数着の衣類と年季の入ったゲーム機器が入っていた。

 俺はそのうちの一つを取った。

「なあ。これ、アツのやつじゃねえか。見てくれよ。」

 教科書やノート類の裏に、見覚えのある自体と文字が油性ペンで記されていた。

 『畑ヶ野敦』と。

「なんで、アツの物がここに?」

 俺が考えられる可能性は幾つかあった。その中で一番高確率は、恐らくこれだろう。

「この家でよく寝泊りしてたんじゃねえか? なんでかは俺にも分からねえが。」

「普通に考えたらそうよね……。」

 俺らにはアツの家庭事情の知識は無かった。

 アツがあまり話したがらなかったから、俺らも安易に聞けなかったのだ。

 だから俺は、アツの両親の職業すら知らない状態だった。

 俺らはそれから、二人で頭を悩ませながら、段ボールの内容物を漁っていった。

 そしてノートの間に水色の表紙の日記帳を見つけた。

「これだよな。言ってたやつって。」

「ええ、そうみたい。一好君の説明と一致するわ。」

 ひとまず、一つ目の目標はクリアだろう。気がかりな事もあったし、収穫は多かったように思えた。

「内容は皆が集まった時という事で、とりあえずこの後の時間は何する? 結構時間余っちゃったし。」

 流石に真道の家に長居するのは気が引けた。だから、出来れば別の場所で暇つぶしをしたかった。

 しかし、まだ午前六時半。なかなか候補が見つけられなかった。

 四人での集合は来海の家と決まっていた。

 本当ならそこで時間を潰したいけど、些か自分から言うのは勇気が必要だった。

 俺が言おうかどうか迷っている最中、先に提案したのは来海だった。

「一回家帰りたいから、一旦解散でいい?」
「いいぞ。再集合はあいつらと一緒でいいんだよな?」

 何か用事があるらしく、僕の目論見は呆気なく散った。

 来海ともうちょっと話したかったから、俺は少しだけ寂しい気分になっていた。

「ええ。じゃあ、また後で。」

 来海はそう言って、部屋に鍵を掛けると走って来た道を帰っていった。

 残された俺はというと、この時間に予定がある訳もなく、自然と帰る流れになった。

 早く起きた意味は何だったのだろう。

 これだけ時間が余るのなら三時間分後ろ倒し出来たのに。そうすればもっと長い時間、寝られていたのに。

 そう思うと無性に腹が立ってきた。

 正直俺は、来海の自由すぎるスケジューリングに嫌気が差し始めていた。

 
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