内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

 お嬢様育ちのカレンは、自分で髪を洗わないらしい。

 職業柄かシャンプーについて聞いた時にそう言っていた。

『私サロンで洗ってもらうから、よくわからないんです』

 家事を知らない手は、文字通り白魚のよう。

 人形のように整った顔に施された完璧な化粧。

 今夜も綺麗だね。

 本当に綺麗だ、その揺れるイヤリング。光を集めて輝くさまは、まるで星のようだよ。

 君自身には、一ミリも心が動かないが。

「とりあえず――。食事をしましょうか」

「ええ」

 会話のない静かな食事でも、気まずさも感じないらしく、カレンは「おいしい」と、つぶやくように言う。

「カレンさん。実はお伝えしたいことがありまして」

「はい。なんですか?」

「僕は潔癖症でね。他人の肌に触れられないんです」

 カレンは不思議そうに首をかしげる。

「だからセックスはおろかキスすらも無理で」
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