内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 引っ越し先は、悠のお父さんがまた別の女性弁護士を送り込んできて、希望する土地で家を確保してくれる手筈になっている。

 なんというか、向こうも本気で私に消えてほしいのだろう。

「大丈夫なの? 生活のほうは」

 私はにやりと目を細めて笑った。

「なによその悪女みたいな笑みは」
 眉間をひそめた店長が、横目で私を睨む。

「実はね店長、私、相手のご家族から手切れ金はバッチリもらったんです」

「あらま。しっかりしてんのねー。千絵ちゃんらしいけど」

 ハハッと店長が笑う。

「もうね、子どものためならなんだっていいんです。金目当てだろうが、なんて言われようが屁でもありません」

 決意も新たにごくごくとジュースを飲む。悪女上等という気分だ。

「まあ、しょうがないんじゃない。神林家が相手じゃね」

「ブッ」

 不意打ちの発言に、ゲホゲホと咳込んでしまった。

「ちょ、ちょっと店長。い、今なんて?」

「相手はシルKUの御曹司でしょ?」

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