内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 ときどき申し訳なさに襲われて、胸が苦しくなる。

 身勝手な私のせいで、晴太には本来いるはずの家族がいない。

 晴太のパパもお祖父ちゃんも健在なのに、会わせてもあげられないのだ。

 今すれ違った若い夫婦のように、両方の手をパパとママが繋いであげたりもできないのもすべて、私の嘘が招いた結果だから……。

 ごめんね、晴太。

 それでもママは後悔してないの。晴太がいてくれれば幸せなの。
 いつの日か、ちゃんと説明してあげなきゃいけないね。

 マンションに帰り、晴太を寝かせてパソコンを開く。

 さて、何か売れたかな。

 数々のバイトに失敗する中、ひとつだけ順調な収入がある。

 インターネットで販売している造花で作ったコサージュやリースが、ちょこまかと売れているのだ。材料費を引いても数万円、そろそろクリスマス向けの大物にも挑戦しようかな。

 形は違えどお花のアレンジメントには違いなく、経験を活かせているのはうれしい。

 なにより気晴らしにもなって楽しいし。

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