内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 晴太がもう少し大きくなるまでは、こうやってギリギリの生活を続けるしかないだろう。

「おっ、売れてる」

 小ぶりなリースがひとつ。この調子でいけば今月も目標の三万は超えるかも!

 早速梱包してポストに投函し、スマホが音を立てたのは部屋に戻ったときだった。

 表示されたのは弟の名前、守。メッセージには【すぐ電話して】とある。
 なにごとよ。

「もしもーし」と、早速掛けてみた。

『姉ちゃん。悠さんがいなくなったらしい』

「え?」

 今なんて?

『さっき、神林家の男の弁護士がここまで来てさ、姉ちゃんの連絡先教えてくれっていうんだよ』

「えっ、教えたの?」

『教えなかった。姉ちゃんもしかして悠さんと一緒にいるの?』

「いるわけないじゃん! 東京離れてから一回も連絡すらとってないもん」

『だよね。でもなんか弁護士が姉ちゃんと会いたいってさ』

「いなくなったって、いったいなにがあったの? 事情は聞いてないの?」

『聞いてない。こっちには聞くくせに何も言わないんだぜ。ほんと失礼だよな』

 守は、神林家をよく思っていない。

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