内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
食事どころではなくなったのか。フォークを持った手は止まり、瞬きも忘れたように唖然としたカレンは、僕を見つめたまま口を閉ざす。
「かといって、妻の浮気を許す気もありませんし」
ある意味、嘘じゃない。
僕はカレンと結婚しても、言ったとおり彼女の肌には指先さえも触れないだろう。
「先にお伝えしておかないと、フェアではないかと思いましてね」
すると、カレンはやわらかく微笑んだ。
「――それでもいいと言ったら、どうします?」
ほぉ。そうきたか。
「今は医学が発達してます。指一本触れなくても子どもはできますから。私はそれでもかまいませんよ」
へえー。
思わず笑った。
「あなたは肝が据わっているようだ」
まあいい。今夜のところはこれくらいにしておこう。いずれにしろ僕から断るのは許されないし。