内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「あー、どうも。隣に引っ越してきましたー」

 えっ?

「あ、ああ」

 いつの間にか晴太を抱いた悠が、私の背後から顔を出していた。

「どうも、うち赤ん坊がいるんで、うるさいかもしれませんけど、よろしくです」

 ちょっと。

 それ、私がさっき言ったセリフじゃん!


 よく見たら服装がラフなだけで、そのまんま悠だった。

 信じられない。
 まったくもう、変装までしてるなんて。

「どうしてここに? いったいなにやってんの? 心配かけて」

「それはこっちのセリフ」

 晴太を膝の上に抱いた悠は、眉間をひそめて、見たことないほど怖い顔で私を睨む。

 でも、ごめんね。
 やっぱり恐くない。

 いや、怒っているのはわかるけどね。

 だって、こうして見るとふたりは笑っちゃうほど似てるんだもの。

 悠をそのまんま小さくした顔が、悠の膝の上でキョトンを私を見てる。

 人見知りが激しいのにいきなり抱かれても泣きもしないなんて、なにかを感じているんだろうか。

「ちゃんと説明して? 千絵、本気で怒るよ」

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