内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 アーンと口を開ける晴太はご満悦で、両腕を振り、キャッキャと声を上げた。

 私はぷりっぷりの鶏肉を食べる。
 あー、おいしい。こんなにのんびりと食事を味わえるなんていつ以来だろう。

「どう?」

「おいしいよ。ショウガが効いているし、ネギもいい香りだし」

 にんにくショウガ、きのこにネギ、その他まだ晴太に食べさせられないものは、自分でも避けていた。こうやって食べるは本当に久しぶりだ。

「千絵、引っ越ししよう。実はさ茨城県のつくば市に一軒家を借りて住んでいるんだ」

「つくば?」

「そう。駅から離れた田舎のほうなんだけど、庭が広いし家庭菜園もしたり、晴太を育てるにはいい環境だよ」

「へえ」

 そんなところにいたのね。

「でも悠、みんな悠を捜しているよ?」

「もしかして行方不明って聞いた?」

「うん」

 悠はハハッと笑う。

「ちゃんと連絡はとってるよ。会社とも神林の弁護士とも」

「そうなの? でも」

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