内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「あ、そうそう。紫Violaの友達の結婚パーティーがあってね。来週なんだけど。晴太を頼んでもいい? 断るつもりだったんだけど」

「わかった。ゆっくりしておいで」

「ありがとう」

「久しぶりだろう? ひとりで出かけるなんて」

「うん。でも晴太、大丈夫かなぁ? パパとお留守番できる?」

 ほっぺを膨らませながら、晴太はほうれん草としらすの離乳食をうれしそうに食べている。

「大丈夫だよなぁ、パパがいるもんな、な、晴太」

「パッパ」

「よーし、いい子だ」

 クスッ。最近晴太はパパと呼べるようになった。

 グリグリと撫でられる晴太も、撫でる悠もご満悦である。

 晴太を置いていけば悠は安心できるはず。

 その間に、行ってこよう……。


 そして当日。

「じゃよろしくね」

「はい。いってらっしゃーい」

 駅までは悠が車で送ってくれた。車の窓越しに晴太に手を振ると、晴太はにこにこ笑って手を振り返す。

 大丈夫だろう。いまやすっかりパパっ子だから。

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