内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「すみません……。本当に、私はなんとお詫びしたらいいか」

「まあまあ、そう頭を下げないで。君を責める気はないよ」

 でも、取り返しがつかない。

「千絵さん、心配いらないよ。悠が言った話は本当だ。悠は、私を助けるためにシルKUを離れた」

「そうなんですか?」

「ああ、本当だ」

 それなら、悠は。

「ところで君はどうして来たんだね? 今の生活になにか不安でも?」

「いえ」

 むしろ怖いくらいに順調だ。

 でも、なにかが違う。

 そういう意味ではやはり、不安に違いなくて。

「時々、悠さんが、悩んでいるように見えるんです。私にはなにも言いませんが……。きっとシルKUに戻りたいんじゃないのかなって」

 悠はシルKUを心配してる。
 それは間違いない。

「そうか。悠が悩んでいるとしたら、まだ可能性があるってことだろう。よかった」

「よかった……?」

 お父さまはにっこりとうなずいた。

「シルKUには悠が必要だ。彼が堂々と戻ってこれるように、私も一踏ん張りしよう」

「それじゃ」

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