内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
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千絵が帰ってきたのは夜の九時近くだった。
久しぶりだから、泊まってゆっくりしておいでと言っておいたのに、心配だったんだろう。
晴太を寝かしつけていたときに、そっと扉が開いた。
「ただいま」と、ささやき声で晴太の顔を覗きこむ。
「さっき、寝たとこ」
晴太の寝顔に安心したように千絵はにっこりと微笑み、そっと寝室を出た。
「おかえり。早かったね」
「うん。やっぱり気になっちゃって。泣かなかった?」
「朝のうちはちょっと泣いたけど、その後は大丈夫。そのかわり片時も僕のそばを離れなったけどね。さんざん遊んだからぐっすり寝ると思うよ」
「あはは。お疲れさま。駅ビルでおいしそうなお惣菜買ったんだ。たまには飲まない?」
「いいね。とっておきのワインがある」
千絵が着替えを済ませている間に、お惣菜をお皿に盛り付けてグラスも並べて準備をする。
最近はすっかり家事が板に付いてきた。
まあ、無職のようなものだし家事くらいできないと。
「あ、準備してくれたんだ。ありがとう」
並んだお惣菜を見た千絵は、手早く大根とハムのサラダを作って追加する。
働き者でかわいい奥さんだ。
近所のおばちゃんたちともすっかり仲良くなって、漬け物をもらってきたり、この前は手前味噌の作り方を教わってきた。
ネットで造花やドライフラワーのリースや飾り物を売ったりもしている。
趣味だとか言いながら『万がいち、悠が一文無しになっても、私が養ってあげるから』とやる気満々で楽しそうだ。